秋の奈良県・十津川村

野口 正二郎(当社)







日本旅行作家協会・会員の木原康又さん、竹村和花さんご夫妻の要望で
日本旅行作家協会の特別例会(旅行例会)が奈良県・十津川村になった。
イメージとしては奈良県の山奥で、どのように行くのであろうかと思う。
 


奈良県の南端の十津川村は日本一大きい村ということで、琵琶湖より
大きい面積を持つが、そのほとんどが1,000m級の山々である。
人々は、川沿いの狭小地や山の斜面のわずかな所に住んでいる。
十津川郷士といえば歴史の中で、折にふれ登場するのでご存じの方も
多いと思うが、この厳しい土地が気骨ある人々を育んだのであろう。
明治22年(1989年)十津川村が大水害に見舞われて、168人死亡という
大きな災害を受け、約2,500人の村人が北海道に移住した歴史がある。
農地を開墾して、新十津川村となり、現在は新十津川町として母村との
交流が続いている。下記の災害では、いち早く支援をされたようだ。
2011年9月、台風の影響で集中豪雨に襲われ、河川の氾濫や山崩れが
あり死者もでる災害となった。道が寸断されれば、陸の孤島となる所である。

 

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●写真説明:
1〜3)和歌山県田辺市「ちかの平安の郷かめや」で猪肉ハンバーグを食べる。
4〜7)世界遺産・熊野本宮大社にて

鉄道組は、紀勢本線の白浜駅、飛行機組は、南紀白浜空港で合流する。
我々は用意された貸切バスで、和歌山県から、奈良県十津川村へ向かう。
1時間程で、「ちかの平安の郷・かめや」に到着。昼食は、ジビエ料理
ということで猪肉、それに鶏肉、熊野牛のハンバーグ。その中で猪肉が一番
美味しいと感じた。山には猪、猿、鹿や熊もいるそうで、農作物等は、
鳥獣の被害が大きいようである。但し猟師さんが捕ってきた獲物は、
保健所の指示があり、簡単に料理にだすことはできないそうだ。
お店の前が「熊野古道」になっており、時々外人さんが歩いておられる。
ここはまだ和歌山県田辺市。バスで30分、やはり田辺市の熊野本宮大社へ。
平成16年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界文化遺産の登録がされ、
賑わいをみせていた。熊野本宮大社は、熊野神社全国3000社以上ある
その総本宮である。石段を上がると御社殿があり、拝礼と賽銭箱が4か所
ある。賽銭を入れて、世界平和をお願いした。

 

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●写真説明:
8〜16)果無(はてなし)集落、岩本さん宅と小辺路(こへち)

十津川村へ向かう道は、熊野川(十津川)に沿った山あいの道である。
十津川温泉郷に入る手前の狭い道をバスが登り始める。小型バスでぎりぎりの道を
うねりながら登って行く怖い山道だ。果無(はてなし)集落に着くと、ドライバーの
山本さんに拍手がおきる。バスを降りると、地元の語り部、今西さんがお出迎え。
コスモスの花々が美しい。果無山脈を見渡せて、天空の郷と呼ばれている。
今西さんが、果無越西国三十三観音石仏へ案内してくださった。ここは熊野古道の
道であり、ミシュランガイドブックの三ッ星に輝く美しい里山の風景である。
8軒の民家がある。石碑「世界遺産・熊野参詣道小辺路」の先にある民家を訪れる。
団体で押しかけたが、開放的なお宅で、軒先に腰掛けたり、奥に美しい田んぼを
みることができた。こちらの奥様(おばあ様?)岩本カツさんは、パンフレットに
登場する看板奥様である。

 

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●写真説明:
17〜20)セミナーと懇親会、郷土料理(ホテル昴にて)

宿泊は、ホテル昴。第三セクターでできたホテルで、周囲には温泉プール、野外ステージ、
多目的広場など、複合施設となっており、広い敷地となっている。
源泉かけ流し100%の温泉に入ってから、セミナーで十津川村観光振興課の増谷良一
課長のお話を拝聴する。人口3,600人、1000m級の山が100以上あり、吊り橋が
61ヶ所、日本一長い吊り橋がある。「日本で最も美しい村」連合に加盟しており、美しい
農山村の風景や文化を守っておられる。
懇親会では、地元の料理(ゆうべしチーズ、あまご塩焼き、合鴨ロースの塩焼き、
むこだまし等)や、北海道新十津川町のお酒をいただいた。
地元からは、川田副村長や、田花観光協会長(温泉旅館・田花館を経営)らが参加し、
暫しの交流をもつことができた。観光が村の重要な産業で、観光客の誘致が望まれる。
宿泊は、温泉旅館以外に民宿や、米国人のアレックス・カーさんが行っている古民家再生、
1棟貸しなどもある。ホテルのカラオケで、その晩を締めくくった。

 

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●写真説明:
21)朝食(左上が菜粥) 22,23)玉置山展望台より、十津川の山々を見る。
24〜29)玉置(たまき)神社に参詣

朝食では、茶粥など地元のご飯をいただいた。
この日は、女性の語り部、和田さんとともに玉置山展望台から、玉置(たまき)神社へ。
上着を預けてしまったので、とても寒い。冬には雪が積もるそうで、山上の神社詣では大変
である。幸い初秋ということで、長い参道を森林浴しながら歩くと、いくらか温まることができた。
境内には杉の巨木が何本もあり、歴史を感じさせる秘境の神社。
社務所に上がらせていただき、狩野派の素晴らしい襖絵を何枚も見ることができた。
山を下り、北山川の景勝地、瀞峡(どろきょう)へ。青い水と川沿いの岩々、緑の樹木との
対比が美しい峡谷だ。9人乗りくらいの小型船で、あれがライオン岩、これが亀岩などと、
船頭さんの説明を聞きながら、暫しの遊覧を楽しむ。
クルージングの後は、民宿香で作ってくれた「のら弁当」を河原の岩場で食べる。
これは熊野古道を歩く人にとって大事な名物弁当で、小辺路には食堂やコンビニが無いので、
これが栄養源となる。めはり寿司(高菜漬けで包んだおにぎり)などが入っており、嬉しい。
すぐ近くの上流に吊り橋が見えた。行ってみると、しっかりした造りである。数年前の台風で
流されて、新たに設置されたもの。高いところにある吊り橋や、瀞ホテルにも水がきたようで、
現在ホテルは喫茶のみの営業であった。吊り橋やホテルの室から見る峡谷の景色もよい。

 
 
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●写真説明:
30〜44)瀞峡(どろきょう)にて、遊覧船とお弁当(のら弁当)の昼食と吊り橋
45)南紀白浜空港にて、ラーメン(パンダの海苔)


1泊2日の短い時間であったが、十津川村の主な所を見て、そして食べて、ローカル色豊かな
旅を体験できた。
熊野古道の巡礼の道を歩くのは大変だが、十津川鼓動の会(語り部)が同行もしてくれるので、
自然の中の美しい村々、温泉や郷土料理が楽しめるのではないでしょうか。