●ドロミテ(Dolomiti)概要(主に、Wikipedia参照)
イタリア東北部にある山地で、東アルプス山脈の一部である。イタリア語ではDolomitiという。「泥道」と似た発音であるが、大体は岩石地帯で泥というイメージはない。図(Do1’)に示すように、緑の枠内のことを一般に指すようであるが、定義が定まっている訳ではないようである。その枠として、北は、リエンツァ川、西は、イザルコ川とアディジェ川、南はブレンタ川、東はピアーヴェ川に概ね囲まれている。これら以外にも同様な地質的特徴をもつアディジェ川の西(9:ドロミティ・ディ・ブレンタ)や、ピアーヴェ川以東(4:ドロミティ・フリウラーネ)も含まれる。
世界遺産としてのドロミテは、このように分散している。世界遺産となった基準は、次の2項目を満たしていることによる:■(7)ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。■(8)地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
この名称は、フランスの地質学者デオダ・グラテ・ドゥ・ドロミュー(Deodat Gratet de Dolomieu)(1750.6.23-1801.11.16) に由来する。彼は、フランスのRhone-Alpes地方のTour-du-Pinに近いDolomieuという所で生まれたから、この苗字になったのであろう。彼が1789年と1790年にイタリアのチロル地方に調査に行った際、鉱物を発見し、それで彼の名に因んでドロマイト(苦灰石(クカイセキ)、苦灰岩(クカイガン))と名付けられた。この鉱物はカルシウムとマグネシウムの炭酸塩CaMg(CO3)2で、鉱物と岩石の違いは、前者は一定の物理的・化学的性質を有しているのに対し、後者は不純物あるいは、混合物なので、一定の物理的・化学的性質を有しない。
同地区で一番高い山は、マルモダーラ山(3344 m)で、3000 m以上の山が約20ある。主な湖はミズリーナ湖、アッレーゲ湖、ドッビアーコ湖、ブライエス湖などがあり、このうち、アッレーゲ湖以外の3つは訪問した。
今回、訪問した街や場所などを、模式的に表した道路図の上に示す(Do4)。また、そこに示した山を表にしたが、これは今回眺めた山が中心で、高い山を網羅しているわけではない。
ドロミテは余りにも山が多く、そして、八ヶ岳のように少なからずの山が連山になっていて、それをひとくくりにするのか、個別の山として名称を有するのかも分からぬ場合もある。そして、その形の特徴が薄いのが、イタリア・アルプスが、スイス・アルプスと比べて、高さでも劣ることもあって、知名度が低い理由なのだろう。富士山のように、誰が、どの方向から見ても分り、形も良い山が、ここには無く、ここの山では、日本で一般によく知られている山はない。初めての私には、実際に山々を見て、その山の名称を知ることは大方、困難で、後で写真を見て名前が分かったものも多い。一方、登山家やスキー愛好者には、宿泊施設が安価なこともあって、大変、魅力のある所であろう。
アルプスは白亜紀(1億4300万年前―6500万年前)に、アフリカ大陸がヨーロッパ大陸にぶつかり、テチス海(古地中海)で堆積した地層を押し上げ、今日の景観は過去200万年間にあった少なくとも5回の氷期の氷河作用が作り上げたそうで、地球の悠遠を感じさせてくれる。その意味でも、ドロミテと定義される地域では、Lagazuoiからの景観が一番良かった。
他の方の旅行記を拝見すると、夏(7月、8月)は大変、混んでいて、車でもヘアピンカーブでバスがつかえて大渋滞すると書かれている。今回の9月の初旬は混雑したところも無かったし、寒さを感じたこともなく、天気も傘をさすほどのときはほとんど無く、日の入りも十分遅く(ミラノ:9月1日:19時1分)、ドロミテの観光には最高の時期と思う。
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