ネパール・ヒマラヤとカトマンズ盆地の世界遺産  野口 正二郎
ネパールの世界遺産は、文化遺産として、カトマンズ盆地と仏陀の生誕地ルンビニの2ヶ所、
自然遺産として、サガルマータ国立公園(エベレスト等の山岳地帯)、チトワン国立公園
(野生動物保護区)の2ヶ所、合計4ヶ所ある。
2015年4月25日(土)、カトマンズの北西77kmのゴルカを震源地とする大地震が発生し、
カトマンズ盆地の人々や建造物に大きな被害をもたらしたことは記憶に新しい。
地震から約1年半後の2016年11月上旬に、ネパールを訪れた。

イエティ航空にて、ヒマラヤ遊覧飛行
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※エベレスト山 8848m
 
(ヒマラヤ遊覧飛行)
到着日の翌朝、ヒマラヤ遊覧飛行で、エベレストまで8千メートル級の山々に迫る。
カトマンズ・トリブヴァン空港の国内ターミナルから、イエティ航空302便に乗り込む。
イエティとは昔話題になった幻の雪男のこと。30人乗位だが、全員が窓側にて、20人位で
乗船する。我々の団体は前方の席を取っていたが、搭乗券はくじ引き方式で決めた。
私は残念ながら右手の翼の上6Cを引いてしまった。飛行機はエベレストをめざし飛行すると、
左手にヒマラヤ山脈が連なって見えてくる。左側の乗客に、女性乗務員が親切に見える山の
名前を告げて説明する。コックピットを空けて、順番に操縦席からの眺望を見せたり、
シャンパンのサービスもあり、観光フライトということでサービスが良い。一時、左の窓側に空席が
できて、そこに座り白い峰々の写真を取ることができた。エベレスト近くで旋回して帰路に向かうと
、やっと右手にヒマラヤの山々が見える。45分のフライトは短いが晴天で良いオプションであった。
 
朝食後、カトマンズの市内観光に向かう。










カトマンズのダルバール広場と周辺

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※旧王宮内
※※クマリの館内
※※※昼食風景
(カトマンズのダルバール広場) 
カトマンズは標高約1300m、緯度は沖縄と同程度に位置している。天気が良いと暑い。
旧王宮と寺院群があり、見どころは多い。ネパールは外国の支配を受けたことがなく、王朝は
古代4世紀リチャビ王朝から、近世のシャハ王朝まで続いたが、2008年に廃止され、民主化
の道を進むことになった。ダルバール広場は、14〜17世紀の建物群が多い。
旧王宮から見学、ロハ・チョーク(中庭)では沙羅双樹の木彫りが美しい。ナサル・チョークでは
現在も中庭で外国の元首が訪れた際に国家行事が行われる。洋風の壁面も美しい。
南側のバサンタブル・ダルバールは9階建であったが、地震で現在は6階建てとなってしまった。
「クマリの館」は広場の南側にある。生き神様クマリは、旧市街ネワールのサケ地区より選ばれ、
女の子で3才から11才まで、神様として館に住み、人々の病気治療や願望成就の祈祷や
占いを行っている。現在のクマリは10才。午前11時半頃に中庭から3階の窓を望み、クマリの
出現を待つ。何人かの観光ガイドさんが3階に声を掛けると、着飾った女神クマリがそっと窓辺に
寄り添い、しっかりしたお顔を見せてくれた。女神に合掌。数十秒間の拝謁であった。
王宮の北側、西側にいくつかの寺院があるが、シバ寺院等、一部倒壊した寺院が目についた。
残念であるが、写真で往時を偲ぶか、再建を待つところである。
広場から南にやや坂を下りた洒落たレストランでチベットモモ(餃子)やチベット鍋の昼食。
鍋のスープと一緒に、ご飯や麺を食べて美味であった。帰路は、アサン・チョーク(広場)を経て
大通りに出たが、平日の昼間にも関わらず、多くの地元の人出で賑わっていた。







バクタプルのダルバール広場と周辺

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※旧王宮のゴールデンゲートと55窓の宮殿、沐浴場
※※ニャタポラ寺院
※※※孔雀の窓(木彫)
(バクタプル)
カトマンズから、ヒマラヤの山々を望むナガルコットへの道中12kmにある、中間に位置した町。
15世紀から18世紀にかけてマッラ王朝時代に3王都のひとつとして、最盛期のネワール文化と
ともに発展した。バスを止めて、歩いて坂道を上ってゆくと、王宮広場への門がある。
ダルバール広場の周りにいくつもの建造物がある。まずはゴールデンゲートを通り、旧王宮に入る。
右手は、木彫りの窓が美しい55窓の宮殿。奥のタレジュ・チョークにはヒンズー教徒のみしか
入ることができず、入り口よりちょっと垣間見ることになる。右奥に沐浴場があるが、飾りが立派で
さすがに王宮内の施設である。王宮傍の2つの建造物は地震で倒壊した状況のままである。
陶器の広場を見ながら、トウマディー広場へ。18世紀初めに建てられたニャタポラ寺院は、
5重の塔を持ち、晴天に映える。石段を登って、四方を見渡すことができた。
ガイドさんに従い、更に路地を歩いて回り、木彫美術館の側面の孔雀の窓を見る。ネワール彫刻
の最高傑作とされる見事な木彫りの細工である。近くのタチュバル広場にでて、広場の見える
レストランで、やっとネパールのビールを飲みながら昼食いただくことができた。

ナガルコット
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※クラブ・ヒマラヤと眺望
※※憲武コーヒー店にてご主人と
※※※雲海リゾート
(ナガルコット)
その日、バスは田舎道を走り、段々畑を見ながら、さらに曲がりくねった山道を登り、午後4時前に
ナガルコットのクラブ・ヒマラヤに着いた。ナガルコットの高級山岳ホテルで歴史あり、やや古い感はある。
施設、サービス等々良い。標高約2100m。チェックインして、テラスでヒマラヤの山々を眺望する。
大パノラマで広がる素晴らしい景色を堪能することができた。晴天続きで幸運である。
新館屋上から遠くの山に沈む夕陽見学はいまいちであったが、旧館屋上からの日の出見学は、
太陽が徐々に山々を照らして、素敵な景色を楽しむことができた。
団体の多くの人が朝食前に、展望塔までの散策、往復8kmに出かけていったが、私は早めに朝食を
取って、1人でナガルコットの村を散策した。小さな観光ホテルがいくつもあり、また村人の生活を垣間
見ることができた。さらに坂道を登って行くと、建物の2階から、景色を見に寄って行けと、人のよさそうな
おじさんが声をかけてきた。2階に上がると、そこから遠くにカトマンズの町が見えた。
この店は、憲武珈琲店といい、ご主人は55才のネパール人。日本人の来店も多いようで、店名は
木梨憲武さんから取ったようである。来店記帳に日本人、その他の外国人の記帳が多く記されていた。
奥様と子供もおり、震災で2つの所有建物に損害があったという。村人の面倒も良く見ているようだ。
ミルクテイを飲み、エベレストの写真1枚買うと、写真のカードを1枚あげると言うのでクマリの写真を貰う。
バイクでその先の雲海リゾートというホテルに行ってもらい、ホテルからの抜群な眺望を得た。絶壁にあり
前を遮るものがなく遥か遠くに山並を見ることができた。1人だけのちょっとした冒険?であった。








パタン
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※ホテルサンセットビュー内「ヒマラヤそば」
※※ダルバール広場
※※※マイボーダ寺院
※※※※旧王宮と付近

(パタン)
ナガルコットからカトマンズに戻る途中といっても、かなりカトマンズ近くに位置する町。
15世紀末から300年続いたマラッカ王朝の都であったパタンは、王宮を始めとして多くの見事な
建造物が残っている。バスを降りてからかなり歩いてダルバール広場に入る。ガイドのパダム・グルンさん
は歩くのが好きなようだ。一度王宮を後にして、ビルの間を歩きマハボーダ寺院へ。インド・シカラ様式の
30mの塔に無数の仏像が彫られている。震災のため修理中であった。隣りの仏教寺院も見る。
旧王宮内の見学では、ムル・チョーク、スンダリ・チョークでは小さな沐浴場もある。付属のパダン
博物館では仏像や装飾品などゆっくり見学できる。
クンベシュワール寺院は、1392年に建造のシヴァ神を祀る寺院。5重の塔である。
ゴールデン・テンプルは、皮製品が不可で、中庭におりる場合は、革靴は履き替えて入る。
それぞれのしきたりに従い見学することになる。
 
夕方、カトマンズで1軒のお土産屋さんに寄った。かの三浦雄一郎さんご用達の店である。
お店の名前は「ROOT NEPAL」、ご主人は、ラジェンドラ氏。こちらのパシュミナ・セーターを着て、
三浦氏は80才でエベレストに登ったという。ご主人がビデオを見せて、確かに三浦氏が山登りに良い
セーターであると言っている。登頂記念の小さい敷物も、事前にこの店で数百枚?作成された。
三浦氏が安部総理に敷物をプレゼントしているところも写されていた。
80才でエベレスト登頂に成功した三浦氏は、またエベレスト登頂を考えているが、ネパールでは
80才以上は危険ということで許可が下りなくなり、中国側からの登頂となるようである。(ご主人談)
人柄の良いご主人で、皆様色々買い物をされていた。
丁度この日は私の誕生日。添乗員のMさんから、同店で買い求めた手袋を、夕食時にバースデー・
プレゼントとして頂戴した。ダンニャバード。(ありがとう)
※ラディソンホテル

(ホテル事情)
カトマンズはラディソンホテル。市内の高級ホテルだがやや古い。丁度インドの大統領がきていて、
このホテルで会合(夕食会?)を持つということで、私達が近くのネパール料理店に歩いて出ようとしたら
入り口で暫し足止めになった。厳重警備の中、インドとネパールの数十台の車が、次々とホテルに到着。
格式のあるホテルと言える。客室、ブッフェの朝食、サービス等は良い。早朝に計画断水があったが、
朝には回復していたので、安心した。
ナガルコットのクラブ・ヒマラヤは、前述の通り良いホテルだが、こちら夜間に計画停電があった。
チュックイン時に懐中電灯を持ってきてもらっていたので、ベッドよりトイレに行くことができた。
トイレにろうそくが備えてあったが、真っ暗闇の中、ろうそくに灯を付けるのは難儀なことである。

今回、カトマンズ盆地の7つの遺産のうちの3つの遺産を巡ることができた。
3か所の遺跡群は、旧王宮や寺院群で見応えのある建造物である。
自然遺産・ヒマラヤの山々の絶景との組み合わせは、観光客を魅了することでしょう。
ネパールのやさしい人々も。