小樽から、
「ぱしふぃっくびいなす」に乗って
野口 正二郎(当社)


日本の豪華客船のひとつ、ぱしふぃっくびいなす・PACIFIC VENUS に搭乗する機会を得た。
いくつかのコ−スから選択して、「6月23日(土)小樽発、2泊3日、東京港着」を申込したところ
幸いに空室があり、友人と2名相室で予約OKとなった。

ぱしふぃっくびいなすは、飛鳥U、にっぽん丸と並び、日本の三大豪華客船のひとつであるが、
今までに搭乗の機会がなくて、乗ってみたい船であった。
日本クルーズ客船(株)が所有しており、1998年4月に就航し、20周年を迎えた記念の年である。
総トン数 26,594トン、乗客数 620名、客室数 230室、全長 183,4m、幅 25m。

北海道の小樽港から出航にて、小樽や余市を見る計画を立て、ホテル・ノルド小樽に前泊した。
小樽駅から、第3号埠頭に行く途中にあり、また運河沿いのホテルで、最適の選択であった。
ホテルにチェックインしてから、早速夕食を求めて、運河沿いを歩いてみた。アジア系の外国人が多い。
小樽はお寿司屋さんが沢山あり,名物のようだが、私は寿司が大好きというほどではないので、
運河沿いの倉庫群を改造したレストラン「北海あぶりやき」に入り、野菜や魚を網焼きでいただいた。
午後7時でも明るく、運河クルーズを楽しむ人達がいる。私達は、洒落たホテルのバーで夜景を
楽しみながら、一杯傾けた。男同士の二人旅は気がねなく、良いものである。

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■写真説明
1〜5)小樽の夕景(運河付近) 6〜10)北海あぶり焼の料理 11〜17)朝の小樽散策
18)ホテルノルドのブュッフェ朝食 19〜30)ニッカウヰスキー余市蒸溜所の見学
31〜32)余市駅の2階ジャンプ王国余市展示ホール 33〜34)小樽サンモール一番街


小樽の街は昔、港湾都市として大変繁盛した時代がある。それを偲ばせる街並の散策が楽しい。
石造りの重厚な銀行の支店がいくつもあり、今はホテルやお店として活用されているものがある。
洒落た商店もある。駅近くの三角市場を歩いてみると、朝から魚介類の販売や、食欲をそそる
海鮮丼の店がいくつも開店している。時間があれば丼ぶり物を食したいと思ったが、今回は逃した。
ホテルの朝食ブッフェで、ミニ海鮮丼を作り食べたので良しとしよう。種類豊富なブッフェで満足。

次ぎの日午前は、余市にある、ニッカウヰスキー北海道工場余市蒸溜所の見学を予約しておいた。
小樽駅前から時間帯の良い岩内高速バスを利用して40分、余市十字路街に着く。
余市駅近く、そしてニッカ余市工場の立派な正門はすぐ傍であった。
3年前のNHKの朝ドラ「マッサン」で、ニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝とイギリス・スコットランド人の
妻、リタの物語が放映されて以来、観光客の人気となっている。
ドラマにも出られた息子(養子)のモデルであった竹鶴威(たけし)さんは、私の所属する一般社団法人・
日本旅行作家協会の会員であったが、2014年12月17日にお亡くなりになった。
残念ながら、お会いしたことなかったが、立派なジェントルマンでいらしたそうだ。
立派な石造りの門の下で、受付を済ませ、見学者待合室に入る。
10時30分、ガイドの工藤さんが、余市蒸溜所の見学ツアーの案内を開始。乾燥棟、蒸溜棟、
1号貯蔵庫、ウイスキー博物館を案内して回る。蒸溜棟では真近に石炭を窯にスコップで放り込む作業を
見学、蒸溜は春と秋のみで、丁度この日が最終日であった。石炭直火蒸溜という、熟練の職人の手間を
かけて、おいしいモルトウイスキー造りにこだわり続けている。貯蔵庫は26庫あるそうな。ひと樽が500リットル。
出荷するまで何年も倉庫に寝かせておく、ウイスキーとは手間と時間のかかるものである。
先駆者としての大変なご苦労が偲ばれる。
最後にニッカ会館の2階で試飲が楽しめる。シングルモルト(45度)、スーパーニッカ(43度)、アップルワイン
(23度)の3品、ストレート、水割り、ハイボール等、お好みでいただけるようになっている。自動販売機で
おつまみを買い、3杯おいしく頂戴した。時間がないのでレストランはスキップして、ショップで買い物をして、
余市駅へ。電車が来るまで、2階のスキージャンプの記念室を見学した。「ジャンプ王国余市展示ホール」
ということで、スキー板やスキースーツなどが展示されている。
1972年の札幌オリンピックで活躍した笠谷幸生選手はニッカウヰスキーの実業団に所属、現在活躍中の
葛西紀明選手も曾ては、ニッカウヰスキーに所属していた。1999年に残念ながら廃部となっている。
現在ニッカウヰスキーはアサヒビールの傘下に入っているが、1934年の創業、今年で84年ということになる。

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■写真説明
35〜41)小樽港にて「ぱしふぃっくびいなす」乗船と出港風景 42〜43)プールとジャグジー
44)一周336mのウォーキングデッキ 45〜47)メインダイニングにて、和食の夕食コース
48)ピアノバー、ピアノの演奏を聴く 49)「森ちゃんと歌って♪歌って♪45分」
50)ロビーラウンジで演奏 51〜52)昼食は天ざるそばとかやくご飯

JR北海道で小樽に戻り、ホテルでバッグを引き取って、第3号埠頭まで歩いて、ぱしふぃっくびいなすに乗船する。
国内クルーズということで保安検査は簡単であった。客室はステートルームの622号室。前方の左舷にあり、
窓から海が見える。階段やエレベーターに近く、まずまずの室であった。ひと休みしていると、「小樽で乗船のお客様
避難訓練です」とのアナウンス。ライフジャケットを着て、8階に上がる。指定の場所に行くと、係員と我々だけだった。
小樽乗船のお客様は少ないようで、そうこうしてるうちに、出港セレモニーの時間となった。
おたる潮太鼓の演奏に見送られ、15時に離岸。昨晩泊まった小樽の街や後方の山々を見ながら出港するのは
何とも言えない心持である。鉄道や飛行機の出発とは違う良さがある。
早速アフタヌーンティとケーキをいただき、午後3時半からの船内見学に参加、フィリピン男性の案内で、6階から
11階まで行ったり来たり、歩き回りくたびれた。お年寄りの見学者は途中から消えていった。
今回の夕食は1回制ということで、午後6時30分にメイン・ダイニングに行くと、ウエイターが座席に誘導してくれる。
ウエイターはフィリピン男性が多いようだ。日本語も良くできる。フルコースの和食は、正直やや物足りない感があった。
食後は、メインラウンジで、専属フィリピン人バンドの「セントトロペスバンド」とボーカル、シャーロットの昭和メドレーを
楽しんだ。この晩は最後に、ピアノサロンで、浦松優子さんによる和洋のピアノ曲を聴く。この方、夕方アコーデオンの
演奏をされており、クルーズ船にとって重宝なアーティストである。
夕刻1時間半、夜は3時間半、12階のカジノがオープンしているが、今回足を運ぶことはなかった。
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■写真説明
53〜58)操舵室の見学、松井克哉船長の丁寧な説明あり
59〜61)フレンドシップナイトで、長身の船長がダンスでおもてなし、ウエイター、ウエイトレスより飲み物のサービス
62〜65)メインダイニングで洋食のフルコースとレストランの風景 66〜68)ロビーラウンジにて、フロントレディー

クルーズ2日目、終日航海になる。天気は良い。メイン・ダイニングで朝食をいただく。和朝食のメニューもあるが、
ブッフェにしてみた。品数は多くないが、お手頃である。日常の朝食より多目にゆっくりといただいた。
いつも食べすぎるので、このところ体調管理で、少し抑え気味にしているが、色々食べてしまう。
その代りに、朝の日課として始めた早朝散歩、8階のウオーキング・デッキに出て、1周336メートルを3周する。
通常は、平日が3,000歩から5,000歩。週末は5,000歩以上歩くが、馴れてくると気持ち良いものだ。
この暑い夏も、何とか続けている。ついでに近くの神社仏閣にお参りし、100円、200円のお賽銭も入れる。
毎日にとなると年間で数万円、などと考えながら、世界の平和、会社の存続、家族と私の健康を祈願している。
話しをクルーズに戻し、午前10時、「森ちゃんと歌って♪歌って♪45分」にひとりで参加。女性歌手が出てくると
思っていたら、アシスタント・クルーズ・ディレクターの森真喜夫氏が登場。司会、ピアノ演奏等、面白いトークも
交えて、びっちり、きっちり45分の仕切りであった。川本康クルーズ・ディレクターが「ロシア民謡メドレー」を、
新人フロントレデイの平野ありささんが「涙そうそう」を歌うなど、家族的とういうか、親しみの持てる一幕であった。
ちなみに森氏は、歌手・新沼謙治さんの元マネージャーをしていたとのことで、話芸も歌も達者なプロでした。
昼食は、メイン・ダイニングで、天ざる蕎麦にかやくご飯で日本船ならではの食事。
午後もいくつかのイベントに参加する。午後1時から1時半まで、操舵室(ブリッジ)の見学があり覗いてみた。
長身の松井克哉船長が、気さくに説明したり、お客様と一緒に写真に写っていた。好感のもてる船長だ。
その後午後2時、メイン・ダイニングにて、シニアソムリエの資格を持つヘッドウエイター・奥林氏による「ワイン教室」
に参加。チリワインの赤(カベレネーソーヴィニヨン)や白(ピノノアール)を試飲しながら、ワインのお話を聞く。そして
友人と、どちらも数十年ぶりの将棋を指す。へぼ将棋に笑ってしまう。駒の動かし方は分かるが、戦法は記憶なし。
8階のウオーキングは、風が強く、前のほうは風圧で歩きにくいので3周で止め、11階の展望風呂に入る。
少し揺れると、湯がとなりの浴槽に移動する。展望風呂に入り、大海原を眺められるのは、日本船ならではのこと。
この晩は、洋食のフルコース。お魚は鱸(すずき)のグリル、お肉のメインは、国産リブロースと牛ほほ肉の煮込み。
ワインを飲みながら、美味しくいただき満足であった。食事は、クルーズでの大きな楽しみのひとつ。
夕方のクルーズスタッフとの懇談会で、船長が、当船も料理が美味しいと言われるようになった、と自慢されていた。
夕食後は、浅見克江さんのフルートと浦松優子さんのピアノによる素敵な演奏を楽しむ。有名な方でなくても、
日本には素晴らしい演奏家が沢山いるものだ。落ち着いて音楽を楽しむのも悪くない。

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■写真説明
69)船からのサンセット 70)最後のイベント、ビンゴゲームの勝者達71)最後の朝食ブュッフェは食べすぎかも
72〜75)東京湾、晴海ふ頭へ。松井船長さん達のお見送り

3日目は最終日。8階デッキを3周歩き、展望風呂で汗を流す。ブッフェの朝食が進む。
午前9時から、最後のイベント・ビンゴに挑戦。今回は運悪く、3回とも外れであった。
東京湾に入り、レインボウブリッジの下を通り、11時に晴海埠頭に到着。横浜に着くよりずーと便利。
下船は思いのほか早く下りられた。お客様がやや少ないようだ。埠頭付近はオリンピック選手村を建造の真最中。
都バスのサービスで、東京駅八重洲口行きのバスに乗り、銀座で下車。知人の絵画個展初日に、お土産持参
で顔を出すことができた。

ぱしふぃっくびいなすは、全体にカジュアルな、そして家族的な感じで、とても良いクル−ズであった。
ご老人が多く見受けられたが、杖をついて、或いは車椅子で参加されているのを見ると、元気を貰うことになる。
若いと思っていたが、だんだん老境に入りつつある今日この頃。しかし元気で旅行を続けたいものである。



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