台風24号来襲の中、千曲市(戸倉上山田温泉)を訪ねて
当社  野口 正二郎





大変暑かった夏が終わり、初秋を迎えた9月末、日本旅行作家協会(JTWO)の
特別例会で長野県千曲市を訪れた。
今年は強烈な台風が何度も日本列島を襲ったが、またこの時期に本土を横断するという。
下重暁子会長が晴れ女ということで、一縷の希望を持って、千曲市へ向かった。
東京から上田まで、新幹線にて1時間20分、上田から戸倉(とぐら)まで、
しなの鉄道で15分、待ちの時間も入れて2時間10分ということで、近いと感じた。

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■写真説明:
1〜4)姨捨(おばすて)観光会館にて、信州そばの昼食
5〜12)姨捨(おばすて)駅にて、くつろぎの駅友の会のおもてなしをうけ、ホームから絶景を眺める


信州千曲観光局の方々が、バスを用意して、2日間多くの観光名所、施設を案内して下さる。
お昼前に戸倉駅に着くと、早速昼食の為に、山の途中にある姨捨(おばすて)観光会館へ。
天ぷらと信州そばを御馳走になった。そしてバスで数分、JR姨捨駅へ。標高約550m。
駅舎では、(くつろぎの駅友の会)の皆様が、お茶と漬物を用意して、おもてなし。
また観光局より全員に「姨捨駅来駅記念入場券」を配布、どちらも予期せぬサービスで嬉しかった。
上りホームから、棚田百選のひとつに選ばれた「姨捨の棚田」が眼下に望める絶景になっている。
JR東日本・トランスイート「四季島」や、しなの鉄道「ろくもん」で夜景を楽しむ人気の駅である。
ボランティアガイドさんと棚田散策に出かけたところで、雨が降り始めたが、小雨程度であった。
棚田のお米の種類は、上部が(こしひかり)で、下部が(風さやか)とのこと。
稲刈りの時期で、刈り取った稲を干してある田も見かけられた。都内の小中学校などに
生徒の体験の為に貸し出し中の田もある。四十八枚田(しじゅうはちまいだ)といわれる
棚田散策を楽しみながら、左手の道を行くと「長楽寺」へ。茅葺屋根の情緒あるお寺。
寺の入り口で、ボランティアガイドさんが趣味の詩吟を披露する。サービス精神が旺盛な方だ。
お話が上手いので、学校の先生をされていましたか、と尋ねると、会社員でした、とお答えになった。
そしてボランティアガイドは多くの人と知り合いになるので楽しい、と語っておられた。
各地でボランティアガイドさんが増えており、ただ施設や景色を見るだけでなくて、
ガイドさんのお話を聞けることは、素晴らしい旅行の体験になる。
散策しない会員は、お寺さんの本堂で、既にお茶と漬物、名産のあんずをいただいて
我々を出迎えた。天台宗長楽寺の佐野住職より、お寺と姨捨の伝説をお聴きした。
和尚さんも話上手であった。本堂の上にある「姨岩」に登ると、棚田や家々が見える。
山形県の山寺を思い出させる風景だ。
戸倉上山田温泉街に戻り、鮎の甘露煮のお店と、「山口洋子展示館」を巡る。
山口洋子さんは、銀座でクラブ「姫」を経営しながら、作詞家、作家として活躍された人。
五木ひろしが歌った「千曲川」の作詞が縁で、この地に何度も来られたそうだ。
残念ながら4年前に、77才でお亡くなりになった。男性の係員が、生い立ちから
亡くなるまで懇切丁寧に説明された。昭和世代には懐かしい歌が沢山ある。
時間があれば、昭和の時代を思い出させる温泉街をゆっくり散策したいと思った。

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■写真説明:
13〜21)ボランティアガイドさんと、姨捨の棚田散策を楽しむ
22〜28)趣のある長楽寺にて、姨岩からの景色も素晴らしい
29〜31)温泉街、鮎の甘露煮の店、山口洋子展示館を見学

宿泊ホテル清風園は庭が美しく、5階の客室から千曲川の流れが良く見える。
風呂に入る間もなく、午後5時30分から、観光局の方が千曲市の観光セミナーを行う。
そして6時から懇親会となった。岡田昭雄市長を始め、観光局の方々、戸倉上山田温泉
旅館組合連合会の猪俣会長、畑山、林副会長も同席され、和やかに交流することができた。
食事は、若林調理長が、腕をふるい11品、美味しくいただいた。お酒は、杏酒で乾杯、
ビール、地酒、ワインと呑み続け、2次会のカラオケでは、ハイボールと、やや飲みすぎである。
台風のことをすっかり忘れて、「千曲川」など合唱し、楽しい2次会を過ごした。
千曲市は山に囲まれた地形で、台風がきても大きな被害を受けたことがないという。
夜間に雨が降って、千曲川の水量は増え、翌日は濁流となっていた。が、被害はない様子。
東京は強風等で大変だったが、丁度良い避難場所にきたものである。移住にも最適かも。

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■写真説明: 懇親会にて
32)下重睦子JTWO会長のあいさつ 33)岡田昭雄市長のあいさつ 
34)芸妓さん3人の歓迎の踊り 35〜39)お料理の数々
40〜41)お酒もいただきました。戸倉上山田温泉旅館組合連合会の会長、副会長の3名様と

2日目は、幸いに快晴の中、見学することができた。
科野(しなの)の里歴史公園にある、「森将軍古墳館」と山の中腹に再現した「森将軍古墳」
を訪れる。円筒埴輪に囲まれた古墳の上に登ることができて、見晴が素晴らしい。
あんずの里スケッチパークでは、あんずの里振興会の皆様が出迎えて、説明された。
ここには250本の杏の木があり、ピンク色のお花が咲く時期は、スケッチを楽しむことができる。
あんずの花を愛でる「あんずまつり」は4月上旬、収獲を楽しむ「あんず狩り」は6月中旬から7月
上旬、その頃に再訪したいものだ。観光局がご推薦の横島物産にて、あんずソフトクリームと
あんずジャムを買い求めた。
上山田ホテルで、洋食のランチをいただく。フレンチの山崎シェフが料理の説明をして、また
沢山の種類の食用きのこを持ってきて見せてくれた。若林社長が挨拶に顔を出されたが、
創業100年の伝統があるそうだ。そういえば、ロビーは年代を感じさせる造りで、趣がある。
午後は、城山史跡公園の荒砥城跡へ。山城で木造の建物が再現されているが、砦という感じ。
こちらも見晴が素晴らしい。そこへ背の高い外国人が現れて、お城やご自分のことをしゃべりだした。
タイラー・リンチさんは、身長は2メートル、米国シアトルの出身。日本人妻の実家、亀清旅館を
継いで、若旦那として働いており、戸倉上山田温泉に欧米人を呼び込む活動をしておられる。
英語のホームページ、英語の温泉街マップも作成。客室13室とこじんまりしているが、素泊まり、
朝食付、2食付等のプランがあり、対応が多様な旅館。貸自転車も始めたそうだ。
歴代天皇の肖像画を展示した「日本歴史館」、貯金箱の博物館「にしざわ貯金箱かん」も立ち寄る。
西沢館長が、からくり貯金箱をいくつか披露、アメリカ製はユーモアがあり面白いものであった。
最後に、総合観光会館で、意見交換会の時間を持ち、有志が様々な提案を述べた。
何かのお役に立てば幸いである。
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■写真説明: 
42)台風一過、千曲川の清流が濁流に
43〜48)森将軍古墳館と山の中腹に復元された古墳
49〜50)あんずの里スケッチパークとあんずソフトクリーム
51〜52)上山田ホテルにて、洋食のランチ、シェフが食用きのこを見せる
53〜56)山城の荒砥城跡と説明するタイラー・リンチさん
57〜60)にしざわ貯金箱館の見学
61)戸倉(とぐら)駅にて、しなの鉄道のキャラクター電車
62)お土産の半生あんずとあんずのジャム、鮎の甘露煮

歴史ある温泉地、まだ新しい千曲市が発展することを願っております。
お世話になった、信州千曲観光局の鹿田事務局長、皆様のご厚情に感謝いたします。



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