a Oxfordであった学会に参加した後、妻とイギリスを数日間ドライブしてから、アイルランドに行った。アイルランドは初めての訪問で、良いところであると聞いていたので選んだ。
Dublin郊外のホテル(Jurys Green Isle Hotel)で一泊後、前日、空港で借りてきた車で旅を開始する(2002年9月11日)。南下して、Powerscourtの庭園を訪れる。正面に池と噴水があり、正面遠くにWicklowの山が控えており、イギリスを含めてこれほど美しい庭園はないと「地球の歩き方」に書いてある。中には日本庭園もある。売店で買い物をしていたら、急に、レジの女性が手を止めるので、機械が壊れたのかと聞いたら、New
Yorkテロから1年を記念して黙祷するという張り紙を指差したので分かる。
その後、比較的近いGlendarloughを訪れる。33mの円筒のタワーがあり、初期キリスト教会集落の中心をなしている。近くに湖があり、森に囲まれているので、多くの観光客が訪れている。このタワーは、この国の象徴として観光パンフレットによく出ている。
さらに南下して、7時前にWaterfordの近くのTramoreのホテル(MajesticHotel)に着く。この地は夏は海水浴場となるようで、ホテルは、海岸に面したすばらしい眺めのところに位置していた。夕方、近くの500mぐらいある遊歩道に散歩に行く。大西洋の荒波が押し寄せる海岸の端に海水浴場があった。夕方7時を過ぎて、気温は17℃ぐらいであったが、サーファーに混じって泳いでいる人が、男女5、6名はいたのに驚く。
3日目は、第2の都Corkを通り、Kenmareに向かう。入り江の近くのホテル(Riversdale
House Hotel)に午後3時前に着く。日の入り(8時30分頃)には十分に時間があるので、約3時間かかるといわれる半島を一周する(Ring
of Kerry)ことにした。半島の先端にあるValentia Islandは、ある化学の発見で知っていたので、今回是非訪れたかった島であった。その発見とは、1873年に、島のケーブル技師が、整流に使っていたSeの棒が,
昼間光が当たっているときは夜より抵抗が少ないという光伝導性現象を発見し、これが、後のゼロックスの発明に繋がったという重要なものである。島へは200m程度の長さの橋がかかっており、島の博物館には、6時の閉まる15分ぐらい前に着いて、辛うじて入場させてもらう。博物館の人に聞いたが、この発見をまったく知らなかった。
そこから、さらにRing
of
Kerryに沿ってKillaneyに向かう。Killaneyに着いた頃は、日暮れ近く、そこから山道をKenmareのホテルに戻る。真っ暗なので、割合険しい山道であることも分からず、ただ、道の中央と端の蛍光線を頼りに走った。1時間近く走ったが、対向車は5、6台ぐらいしかなく、心細かった。途中、鹿の親子が悠々と道を横切った。羊は道端のあちこちにいたが道路には、出て来ておらず、夜なのに、草を食べているのに驚いた。ホテルに帰ってきたのは9時過ぎであった。道に迷ったこともあったが、半島一周に倍の6時間を要した。
翌日は、Kenmareの南側にある半島を1周する(Healy
Pass)。午後からは、前日、暗闇を走ったKillaneyへの山道を再度走る。ここは、アイルランドで最も美しい風景の観光道と言われ、昼間は多くの観光客が車で通っており、所々に土産物屋があった。遠方に湖が見える風景は、北海道のペンケトー・パンケトあたりとも似ていてすばらしい。KillaneyからはKenmareまで、今度は、距離的には長いが容易な平坦地を同じホテルに帰る。
翌14日は、今回の旅行のハイライトと期待するMoherの絶壁の近くに予約したDoolinの近くのホテル(Ballinalacken
Castle Hotelに行く。未だ、午後3時頃なので、早速Moherの絶壁を見に行く。絶壁は左手に4つ、右手に1つが見える。高さは約200mと書いてあるが、もっと高いような気がする。絶壁というだけあって、ほとんど90度に切り立っている。波の飛沫による靄が少しかかっているのと左手の絶壁がやや逆光になるので、午後7時15分ぐらいまで見ていたが、ホテルの夕食を8時に予約していたので帰ることにし、翌日、日没時にまた来ることにする。
翌15日(日)は、Burren高原に行く。Burren高原では、Aillwee洞窟を見る。何100年間の歴史があり動物が住んでいたらしいが、1940年に牧夫によって発見された。近くにも多くの洞窟があるらしいが、一般に公開されているのはここだけである。説明付で約20分ほどかかるが、規模として、そう大きいものではない。
Burren高原を更に進むと、石灰岩が見渡す限りある不思議な光景に出会う。そのような場所の一角に「巨人のテーブル」と称するドルメンがある。周りに土産物屋もなく、自由に触ることができる。
Burren高原を更に回ることを止めて、西側では大きなGalwayに行ってみることにする。途中、Clarinbridgeというところを通ったら、牡蠣祭りというのを行っている。会場の隣のパブ兼レストランに入って生牡蠣、1皿12個入りを、を注文して、妻と2人で食べる。隣の女性のグループはムール貝を食べていた。この国でも、少なくともこの地方では貝類を食べることを知る。
Galwayには、入ったが、帰りが遅くなりMoherの絶壁を日の入り前に見られないといけないので早々に引き上げる。6時半過ぎにMoherの絶壁に戻り、日の入りまで見ている。日の入りは8時30頃と思っていたが、雲があったせいで、8時頃、夕日は沈んだ。夕日に照らされても、やはり絶壁全景の雄大さを写真に撮るのは難しい。
16日(月)は、事実上の観光最後の日である。船で20分ぐらいで行けるAlan諸島には行けなかったので、せめてもと、港を10時に出る船を見に行く。
その後、Limerick経由で、東西を横断する道でDublinに戻る。Limerickは、セラミックスの研究で有名な研究室があるので、どんな大学か見たかったので、立ち寄り、購買で買い物をしたり、食事をする。構内は、一般人にも公開している。
Dublinの、到着時に利用した同じホテルには明るいうちに到着したので、20分ほどの中心街に車で行って、7時から、2時間ほど街を歩いて食事をしてきた。中心街は割合狭く、あまり調べずに行ったので、特に感動することもなかった。
全日、好天気に恵まれ、アイルランドの雰囲気を十二分に楽しめた。これからこの国に車で行かれる方には、Doolinの上記ホテルに泊まり、Moherの絶壁を見ることをお勧めしたい。もっとも、その印象は天候に大きく左右されると思うが。
Pourscourtの売店にはNew Yorkテロ1周年で、
1分間の黙祷の掲示があった。
古城の一角にあるBallinalacken Castle Hotel。
ベットは、柱付、天幕付で王様用のようなもので
あった。
Moherの絶壁。全景の雄大さは1枚の写真で
現すことはできないが、写っている人間の大きさ
と比較すれば、多少はご理解いただけるかもしれ
ない。
Burren高原にある「巨人のテーブル」。
ここは、入場料もいらず、全く自由に触ることもできる。
上智大学 理学部
教授 岡田 勲