|
タイの山村・バンフェイケオボンにて
(第11回 GONGOVAに参加して)
野口 正二郎 |
|
|
|
朝の3時、4時にニワトリの鳴き声がけたたましく聞こえる。
又、村の犬達が吠えたり、喧嘩をしている声も聞こえて目が覚める。
まだ太陽は昇らず、暗い。
朝食には間があるので、小屋を出て懐中電灯で足元を照らしながら
トイレに向かう。
4つあるトイレの一つに入り、タイ式トイレで用を済ませる。
乾季とはいえ、この村はお水が潤沢にあり、杓ですくい、水を流す。
小屋は隙間があり、夜間10度前後になると、寒さが増してくる。
蚊帳をくぐり寝袋にもぐりこみ、まどろんでいると、6時過ぎころから
空が白みだし、村の朝が始まる。
|
|
|
●写真説明
|
1)我々の宿泊施設
2)私の泊まった小屋
3)コンクリート造り
4)簡易トイレ設置、一つ目
5)民家のひとつ
6)2つ目のトイレ
|
|
ここは、タイの北西に位置するメーホンソンより車で1時間のところにある
山あいの白カレン族の村・バンフェイケオボンである。
所帯数は約40戸、人口は約160人。落ち着いた村だ。
ここで学習院大学の海外協力研修ボランテイアプログラムが実践されている。
そして今回の村で11回目となる。メーホンソンと村での生活は別として、
それ以外の航空便、バス、ホテル等は当社で手配させていただいている。
主催の川嶋教授より、前から誘われていたが、今回初めて一部参加で実現した。
全体で27日間の参加は無理なので、足掛け8日間の旅行、村で4泊5日
合流の計画を組んでみた。
今回の正参加者は、学習院大学の学生さんが9人(女性6人、男性3人)、
東京女子医大の女子大生1名、東北大学大学院の男性1名、学習院OB
1名、奈良より社会人1名、60代の男性2名、川嶋教授の16名である。
私のように途中で合流する人が何人もおり、カウンターパートの
プリヤ・クニカ氏が空港に出迎えて、慣れた運転で村に届けてくれる。
山間の道を走り、橋の無い小川を何度か横切り、野趣に富んだドライブだ。
乾季にて土埃はあるが、雨季と比較すれば交通事情はずっと良いようである。
|
|
|
|
●写真説明
|
7)食事風景@
8)食事風景A
9)小南医師、村人を診察中
10)3つ目のトイレ
11)4つ目のトイレ
12)村の子供達と仲良く
|
|
往路、チェンマイにて大分県日田市にある聖陵岩里病院の小南先生や
介護福祉士の石田こずえさんと合流した。同病院の岩里理事長が大変
ボランテイア活動に熱心で、ベテラン医師を派遣して、馴れない山村での
活動、生活にて発生する怪我や病気に対処するように配慮してくれている。
小南先生は6回目の山村入りであり、頼もしい同伴者であった。
石田さんは、学生さんたちに溶け込み、熱心に作業に打ち込んでいる姿が
印象的であった。
朝食は朝7時頃、村人が何人かで賄いを担当して、食事の用意をしてくれる。
食事は3食とも、二菜とご飯、それに果物少々。
このプログラムでは、お酒とタバコは厳禁である。
酒飲みには、良い休肝日となる。
昼食の後は、昼寝の時間が1時間、日中の暑い中での作業で、体力回復に
有り難い。
夕食は6時半頃からで、食べているとだんだん暗くなり、賄いの女性達が、木の
テーブルに蝋燭を灯してくれて、その中でデザートの果物をいただく。
食事の内容は、村人と変わらないようで、質素なおかずである。
チャーハンが出た時は、皆さん食が進み、村の食事ではご馳走であった。
|
|
|
●写真説明
|
13)賄いの女性達
14)小学校の裏に貯水タンクを設置
15)コンクリートを作っているところ
16)貯水タンク完成
17)山の中腹に貯水タンク設置
|
|
今回、私が滞在中での作業といえば、グループに分かれて、民家に簡易トイレの
設置4箇所、小学校の校舎の後ろと、村への入り口の山の中腹に貯水タンクを
設置したことである。
トイレの設置の一連の作業は、大きな丸い穴を掘り、コンクリートの肥溜めを
埋め込み、その前にコンクリートの床と陶製の便器を設置することである。
コンクリート造りは、現場の土の上で行われ、砂、砂利、セメントをよく混ぜて、
そこに水を流し込み、鍬やシャベルでかき混ぜて出来上がりとなる。
砂場より砂を運んだり、砂利を小川より拾ってきたり、水を川から汲み上げてきたり、
場所により色々作業がある。セメントや砂、砂利を入れた袋は結構重たいものだ。
肥溜めや、貯水タンクに使用するコンクリートのリングはかなり重く数人で持ち運ぶ。
足元の悪い場所、山道ではやや危険な作業となる。
そんな折、作業に加わわっている村の男性が、力仕事やコンクリート造り等に
慣れた力を発揮する。
チェンライにあるメーファールアン大学の学生さんが7人(女性6人、男性1人)
参加されており、やはり我々より慣れた感じで作業をこなしていた。
学習院大学の学生さんや、我々社会人は、このような作業に日常縁遠く、
村人の指示に従い作業を進めてゆくことが多い。
ボランテイアで怪我や病気になってはいけないので、自分の体調や能力を考えて
行動する必要がある。
今回、若干体調を悪くした人もいたようだが、大事にはならずに幸いであった。
|
|
|
●写真説明
|
18)夕食
19)夕食風景
20)新メンバー参加の歓迎会
|
|
山村の各戸に前首相のタクシンさんがソーラー発電を設置したので、民家では
夜間でも電気がついているが、我々の簡易施設には電気が来ておらず、
夜は懐中電灯が
頼りの生活であった。懐中電灯の電池が切れてしまうと
いけないので、もっぱら早寝を
決め込んで、夜8時過ぎには床についていた。
本当に電気がないと不便な生活であることを実感した。
学生さんたちは、大部屋で3週間程このような生活をされているので、合宿生活の
ような面白い体験のようである。
さすがに若い人はタイ語(村の言葉)を覚えるのが早く、村人との交流やタイの学生さん
ともタイ語を交えて話をしている。楽しんで国際交流を行っている。
異文化体験、国際交流も本プログラムの重要な目的のひとつである。
3週間の合宿生活で日本人同士は勿論のこと、タイの人々とも大変親近感が増してくるようだ。
私が一足早く村を下りる際に、学生さんたちが武田鉄也の「送ることば」を歌ってくれた。
感激して、若人の顔を見回してみると、みんな爽やかなとても良い顔をしていた。
|
GONGOVA とは、 |
Gakushuin Overseas Non-Governmental Organization Volunteer Activities.の略称
|
|
|
●写真説明
|
21)別の山村にて、コンクリートリングを運ぶ
22)小南医師、石田さんとお別れの日に
23)首長族の村にて@
24)首長族の村にてA
|
|
|
|
|
|
|