風景を前にして、説明の看板がある。これは、オルチャ渓谷の景観が、何故、世界遺産になったかという公式の説明なのだろう。イタリア語、フランス語、英語の説明が書いてあるが、訳が大変難しい。特に、英語のrewritten(書き直し)の、具体的な意味がよく分からず、フランス語のla reecritureを参考にしたが、美術史にも詳しくないので、何を言っているのか、深くは分からない。一応、苦し紛れに訳してみた。
「オルチャ渓谷は、良き治世の理想を反映し、美学的に魅力的な景観を創造しているルネサンス前の時代の風景画をリライト(反映?)したすばらしい鏡である。オルチャ渓谷は、シエナ派の画家達により賞賛され、風景画法の発展に深い影響を与えた景観の象徴と見なされるに至った。」
当然、渓谷の景観というから、自然のものとばかり思っていたら、後日、NHKテレビの「人工の世界遺産」という話題で、これには次のような話を紹介していた。これは、農民が苦労して、無意識にせよ作り上げたものだそうである。もともと、そう豊かな土地ではなかったが、当地の支配者が、収穫物の半分をその農民に与えるということに決めたので、農民にやる気が出て、例えば、岩塩などのある豊かでなかった土地を、富裕な土地に変えたという経緯があるそうである。
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