おわりに

小さな不愉快な経験もしたが、訪問したフィレンツェを初めとするトスカーナ及び近隣
のルネサンスを中心とした文化財、キリスト教文化には、大変、感銘を受け、訪問して
良かったと感じた。その中でも、フィレンツェは、圧倒的で、日本からの多くの団体旅行が、
この地方では、ここだけしか訪問しないのも分る気がする。それにつけても、メディチ家の
役割は大変、大きかったと思うし、戦災に遭わなくてよかったと思う。  

泊まったホテルも安価で、快適であった。治安を心配したが、今回、危険を感じたことは
一度もなかった。この時期は、いつもそうであるが、天気にも恵まれ、2週間という短期間
のうちに、多くの場所を訪問できた。

接した個人は、皆親切であったと思う。一方、過去の栄光に甘えて、観光客の対応にも、
日本人に比べて、気が利かない人、いい加減な人が多いように感じられる(例:予約の問い
合わせに返事をなかなかくれない一部のホテル、ウフィツィ美術館とアカデミア美術館の
入場料に比べて、不当に高い予約料、フィレンツェ空港駐車場の無策、交通違反に対する
対応、案内表示の不足など)。観光案内所も、観光客にとって必要な時間にシエスタを取る
というのも有難くないし、写真を撮っても傷まない彫像までも写真撮影禁止が多くなってきて
いるのも残念である。個人の生活を大事にしたいので、シエスタを取る気持ちは分るが、
頑固な個人主義が、南欧諸国の財政破綻と無関係ではないことも事実であろう。

当時は、南欧諸国の財政不安が始り、Euroの円交換レートはそれ以前に比べれば、
かなり下がって、
120 円弱になっていたが、これから数ヶ月後に来る110円までは下がって
いなかった。それでも、ホテル代などの物価は安く感じられ、その意味では、旅行者に
有難かった。