■ドライヴ事情 

レンタカーは、マニュアルが一般的で、オートマは、少ないようであるが、レンタカー(AVIS)
のカウンターでは、5,6千円増しでオートマを借りられると誘われた。いわゆる高速道路は
無いが、都市内 50 km/h、それ以外100 km/hなので全て無料の高速道路ともいえる。
ドライバーのマナーは良く町に入ると、人影が見えなくても、スピード(50 km/h)をよく守って
いる。著しくスピードオーバーして走っている車はほとんどない。幹線道路は全て舗装されて
いる。ガソリンは、レギュラーがL当たり、多くのところで$1.449(約120円)で、日本とほぼ同じで、
ヨーロッパの主要国(150円程度)より大分安い。左側通行なので、日本人には都合が良いが、
米国人などには、不慣れなので、借りた車のハンドル越しによく見えるところに、“Keep left” と
いう注意書きの紙が貼ってある。対向車が反対側を走ったり、居眠りしたりする事故から身を守る
ために、昼でもライトを点けて走っている車もかなり多いし、自分もなるべくそうした。この国は、
どういうわけか、橋の建設を節約していて、結構な幹線道路でも、1車線になっていて、橋の入り
口に、どちらが優先かが示されている。それでも、交通量が少ないので、対向車とかち合って、
待つ確率は20回に1回ぐらいである。とにかく交通量が少なく、1日走っても、信号に出会わない
時もあるくらいである。駐車料がいるのは、クライストチャーチぐらいで、この旅中、駐車料が必要な
ところは無かった。海外でドライヴを始めたいという人がおられたら、まず、この国あたりからを
お奨めする。
この国のドライヴであまり気持ちのよくないことは、小動物の死骸が多いことである。今回、15日間
で約2400km走ったが、その間、そういう動物が道を横切ったことは1度も出会わなかったので、
多分夜行性動物であろうと思っていたが、それが当たっていたことは、テカポの星観ツアーに参加
して確認された。見ていると野兎が時々出てきて、そのまま、道を横切ればよいところを、ヘッドライト
に照らされると光の照らす方向に逃げて行く。つまり、車との接触の確率が点から線に増加する。
これで、夜間に、車がほとんど走っていない割りに兎が多く轢かれる理由が分る。野兎が夜行性とは
知らなかったが、臆病な兎には、昼は天敵が多すぎるのであろう。

■日本人にとっての観光の利点

(1) 南半球にあるので、日本の冬の12,1,2月が、観光に最も適している。
   こちらの夏にはスキーができる。夏の日没は、午後9時前後であるので1日が長い。
(2) 人口が少なく、広々としていて、自然がいっぱいで、自然愛好者や、トラッキング、
   カヤック、ゴルフなどの愛好家には特に適している。
(3)  時差は、先方がサマータイムをとっている時期では4時間、その他は3時間で、ヨーロッパや
    米国に比べれば少ない。ただし、飛行時間は11時間を超し、ヨーロッパとそう変わらない。
(4) 物価は比較的安い。ホテル代も比較的安い。特に、モテルが良い。
(5) 英語を母国語とする国である。観光地では、英語のパンフレットが豊富で、しかも無料である。
   日本人のよく行く地では、日本語の案内パンフレットもある。
(6)  チップの制度があまりない。レストランや、ホテルの枕銭に心配する必要がない。
(7)  レストランの会計が、入り口でできるので、急いでいる時など、不必要に待つ必要が無い。
(8)  大都市にはあまりいなかったから、都市の事情は分からないが、治安は良いようだ。
(9)  都市、地方を問わず公衆トイレが多い。ヨーロッパに比べると圧倒的に多い。

■日本人と中国人の観光の仕方の違い

1月29日が、中国の正月ということもあり、多くの中国人観光者と遭遇した。遭遇した日本人と
中国人の比は大雑把にいえば、半々ぐらいであろうか。いわゆる観光ルートでは日本人団体客
が多く、そうでないところでは、中国人が多かった。中国人と日本人の区別は、女性の足をみれば、
分かるという説をひとから聞いたことがある。脚がすらっとしているのが中国人で、大根足がわが
同胞ということである。旅行者はスラックスをはいている人も多いし、はっきり区別はできない。
多分、座り方の習慣から来た違いであろう。また、台湾人か、大陸人かは、更に明らかではない。
Te Anauのツチボタルを見物に行ったときに船に乗り合わせた大団体は、かばんについていたタグ
から、台湾からの観光客であることが、はっきり分かった唯一の例であった。日本人は、大体、バス
による団体ツアー客が多く、その行き先は、Mt.Cook を主体とした南部に集中し、南島の北部には
ほとんど行っていない。中国人は、4−6名で、大きな、中で寝食のできるキャンピングカー
(Motorhomeと言い、2、2+1、4,6人ベッド用がある)を借りて周っている。借料は知らないが、
こうすれば、ホテル代などがかからないので、格安に旅行ができるであろう。中国人の方が、
経済観念に長けている。日本人は団体旅行で、ハーミテージホテルのような高級ホテルに
泊まっている。

■意外なこと
 

外国旅行の自分にとっての楽しみの1つは、国内ではあまり味わえない、意外なことを見出す
ことである。意外に思ったことは、上に書いてきたし、写真でも示した。したがって書き漏らした
ことのみ、2,3記す。植物は、多分、北半球で見られない珍しいものが沢山あるに違いないの
だが、自分に、知識がないので分らないのは大変残念である。この国で一番好まれている肉類
はマトンや牛肉ではなく、チキンらしい。しかし、旅行中、飼っている鶏は1匹も見なかった。多分、
鳥インフルエンザを恐れて、外界から遮断されているためかもしれない。この国の土産物として、
キーウィワインを土産にもらうことがよくあるので、この国の名産で人気あるものと思っていた。
あるとき、大変大きなスーパーマーケットで、これを探したが見当たらない。店員に聞いたら、
不思議そうな顔をされて、無いとのことであった。別のところで聞いても、同様で、どこにあるのか
と聞いたら、酒類専門店にあるだろうというので、クイーンズタウンを走っていたら、専門店があった
ので入って聞いたら、あったが、広い棚に、甘口と辛口のそれ1種類ずつしか置いてない。店員に
聞いたら、キーウィワインは、この国では全く人気はないそうで、日本では、これがニュージーランド
名産物と思われていると言ったら驚いていた。オークランド空港の免税店でも見られなかったが、
飛行機に乗ったら、売っている。日本人の土産に人気があることは、航空会社だけは、分かっている
らしい。この国もワインを生産しているが、レストランや、酒店で人気があり、質が高いと思われている
のは、ボルドーなどのフランスワインらしい。意外なことではないが、この国の国産ビール(スペイツ
Speight’sなど)も大変美味しい。しかし、レストランでは、ワインを飲む人の方が圧倒的に多い。
おわりに ニュージーランドは、海に囲まれた山国である点で、日本とよく似ている。大きさや緯度も
大雑把に言えば同じようなものである。1960年代ごろまでは、日本も観光立国を売り物にしていたし、
観光資源の量・質は、今でも、ニュージーランドに勝るとも劣らないと思う。大きな違いは人口の違い
であろう。それに因づき、日本は、工業技術などに活路を見出してきた。また、日本は、歴史的に見て
も、あまり仲良くない軍事大国に囲まれている。ニュージーランドは、仮想敵国さえなく、平和に徹する
ことができるのが羨ましい。ニュージーランドの行き方を真似したくても真似できないし、その必要も
ない。現在は、観光立国のこの国に、日本人は大いに貢献し、また、自然を楽しめる恩恵を受けて
いる。願わくば、ニュージーランドは、自然保護に徹してもらい、日本人は、その自然を見たければ、
行けるような経済力が保てればと願う。