@はじめに

今まで、訪問した世界の中で、総合的にみると、地中海に面する南仏が一番気に入っている。
断片的には何度か行ったところも多いが、まとめて見てみたく、3週間、家内と車で回った。
多くの人が同じ考えを持つのか、この地方のほとんどは、住人の人口を上回る観光客が訪れている。
今から30年近く前の1982 年5月の末に、コート・ダ・ジュールのラ・ガヤール(La Gaillard)という
小さな村での1週間の学会に出席したのが、南仏海岸を見た初めであった。学会からの遠足で、
カンヌ(当地の、今では有名な国際映画祭が終わった翌週)に行き、そして、学会終了後、
ニースで数泊して、南フランスは、地上の楽園という印象を持った。その後も、この地方に、
仕事で来ることが4−5回あったので、そのついでに、観光したことがあったが、観光できる
のも、その一部分で、毎回、数日に限られていた。気力・体力のあるうちに、この南フランスの
まだ未訪問の地、あるいは再訪の地を、まとめて訪問することを主眼とした。
今回の旅行で初めて試みたことは、次の2点である。ひとつは、中期滞在型のホテルに
1週間ずつ3ケ所に泊まり、そこを基点に周囲を旅行したことである。もう1つは、ヨーロッパで
通用するGPSを購入して行き利用したことである。この2つの試みは、旅を従来よりも、
より快適にしてくれた。
旅行4ヶ月前の2月ぐらいから、予約を開始したが、4月14日にアイスランドの火山
(エイヤフィヤットラヨークトル;2008年にはその麓を通った)の噴火があり、ヨーロッパへの
航空便が数日にわたり閉鎖になり、その後もいつ大再噴火があるかもしれないという予報も
あり、旅行の実施が可能であるか心配したが、幸い、旅行時には、何事もなかった。もう1つ
予想していなかったことは、ギリシャの財政危機に端を発したEuro安であった。数年前には、
1Euroが170円に近くなったが、今回は、それが110円台の前半まで下がったことであり、
これは、我々旅行者にとっては都合がよかった。


A旅行先
1 旅程と地図

日々の訪問先は、次に示すが、各訪問先の記述は、東から西へ、3つの地域ごとに、
海岸に沿った場所を先に、内陸に入った場所を後に、記述することにする。

■南フランス旅程(2010年6月)

● Juan-les-Pins基点
 5日(土) アンティーブ(ピカソ美術館、ペイネ美術館、市場)
 6日(日) マントン(プロヴァンス市場、サン・ミシェル教会、旧港、ジャン・コクトー美術館)、エズ
 7日(月) ビオ(レジェ美術館)、カーニュ・シュル・メール(ルノワールの家、グリマルディ城)、
       ヴィルフランシュ・シュル・メール、アンティーブ(岬)
 8日(火) (家内:ホテルで休養) ヴァンス(マチスの教会)、
       サン・ポール・ド・ヴァンス(街とマーグ財団美術館)
 9日(水) モナコ(王宮・衛兵交代、海洋博物館、グレース妃のバラ園)
10日(木) ニース(朝市、プロムナード・ザングレ、マチス美術館、シャガール美術館、展望台)、
       サン・ジャン・カップ・フェラ(ヴィラ・エフルシ・ド・ロトシルト邸)
11日(金) グラース(立ち寄っただけ)、グルドン(城)、ソー・デュ・ルー(渓谷と滝)、
        トゥーレット・シュル・ルー(中世の鷲の巣村)


● Hyeres基点
12日(土) Juan-les-Pins → Hyeres 移動
       アンティーブ(城塞)
13日(日) トローネ(修道院)、ヴィルクローズ(穴居人の洞窟)、トゥールトゥール、クロワ湖
14日(月) マルセーユ(ノートルダム・ド・ラ・ギャルド・バジリカ聖堂、イフ島・フリウル島、クロワゼット岬)
15日(火) (大雨:休養日)
16日(水) エクス・アン・プロヴァンス(セザンヌの家、石切り場)、シルヴァカーヌ、ラコスト(サドの城)
17日(木) サン・トロペ
18日 (金) セナンク(修道院)、ゴルド、ボリー村、ルシヨン


● Cap d’Agde基点
19日 (土) Hyeres → Cap d’Agde 移動
       レ・ボー・ド・プロヴァンス、フォン・ヴィエイユ(ドーデの風車小屋だよりの舞台)
20日(日) カマルグ(ガルディアン、フラミンゴ)、サラン・ド・ジロー(製塩所)、
       サント・マリー・ド・ラ・メール(教会)
21日(月) アルル(円形闘技場、古代劇場、ゴッホの跳ね橋、ひまわり畑)、
       アヴィニョン(法王庁、ベネゼ橋)
22日(火) サン・ロマン洞窟修道院、ポン・デュ・ガール、ニーム(メゾン・カレー、給水場跡)、カレ・ダール
23日 (水) (休養日) カップ・ダグッド(市場、海岸など)
24日(木) オランジュ(朝市、古代劇場、美術館(ブラングィン、アルバート・ド・ベルロッシュ))、
       セリニャン(ファーブルの家)
25日 (金) エグ・モルト(古城、製塩所)、グランド・モット(ビーチに面する建物群)
26日 (土) Cap d’Agde → Marseille-Provance Airport→Charles de Gaulle→成田(27日夕方)

      


地図
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●地図説明
Mp1:南フランス訪問地の県区分
   
(プロヴァンス・アルプ・コート・ダ・ジュールとラングドック・ルシヨン)
Mp2:南フランス訪問全域
   
(コート・ダ・ジュール地方などのより詳細は、Mp3)
Mp3:コート・ダ・ジュール訪問場所
Mp4:カマルグ地域
    (サント・マリー・ド・ラ・メールからサロンド・ジローまで:通過路は黄色印)
Mp5:シトー派3姉妹修道院の場所
Mp6:カップ・ダグド

2 成田―パリ−ニース空港

 自宅から成田空港までは、車で行き、そこの駐車場に預ける。成田空港を出たのは、
2010年6月4日(金)の午後10時前(21:55)のエア・フランスのパリ行きの便である。この便は、
翌日の午前4時過ぎ(4:15)にパリに着くが、日本時間では、+7時間の、午前11時過ぎに相当し、
睡眠時間が長く取れ、しかも、その日の午前中に他のヨーロッパの都市に飛行機で移動できる
ので、便利で、よく利用している。数年前から、成田空港では、出発の際、円の交換レートの写真
を撮ることにしているので、今回も撮った(Ex1)。1Euro=116.88円(公定交換レートは、
数年前には、1Euroが160円以上にもなったのに比べれば、有難かった。ただし、それでも、
現地で、物価が日本より安いという感じは受けなかった。フランスはカード社会で、スーパーでも、
多くの人がカードで支払っているので、現金の交換は、必要最小限に多少上回る額(2人で20万円)
とした。交換レートに関しては、後の付記資料の項で述べる。
 シャルル・ド・ゴール空港には、定刻に着き、EターミナルからFターミナルに、歩いて移り、
3時間待ちで、7時15分発のエールフランス便で、1時間30分の飛行で、8時45分にニース国際空港
(場所は、Mp3に表示)に到着する。
 空港で、予め予約していたHertzの車を借り、持参のGPSを付けて、
ジュアン・レ・パン(Juan-Les-Pins)のホテルに向かう。ホテルの住所をGPSに
入力できていなかったので、GPSでは、列車の駅前に付き、そこから、ホテルの
レセプションに着くまでは、2度ほど、聞いて、実際に着くまでには大分時間がかかる