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III. ホテルと車

1ホテル

車を借りるのと、小さい国なので、短時間で端から端まで行けるので、Valletta近くの
混雑したところを避け、なるべく辺鄙なところに泊まるようにした。マルタのホテルは安価で、
3星のホテルでもバスタブが付いていた。水不足のこの国で、このサービスは奇異に感じた。
予約は、Holidays-Malta.com(holidays@holidays-malta.com)というエージェントからネットで
行ったが、2泊分の25%程度のデポジットでよかった。残りをホテルで、現金(マルサスカーラの場合)
あるいはカードで支払った。予約した08年4月9日の交換レートは、1 Euro = 162.758 円とEuroは
高かった。
 
期間場所ホテル名(★数)1泊2人分宿泊費(朝食付)
1-2日(9.12-13)MarsascalaOcean Reef Hotel(2星)40 Euro
3-4日(14-15)Victoria(Gozo島)Downtown Hotel (3星)53.6 Euro
5-6日(16-17)MelliehaHotel Solana(4星)67 Euro

●Marsascalaは、空港に比較的近く、日曜の朝市の開かれるマルサシュロックに近いことも
あって選んだ。実際の場所は町から離れたSt. Thomas湾にほとんど面している閑静な場所に
あった(M101)。2星の家族で経営するB&Bで、値段も安いので、心配したが、部屋は広く、
3つベッドがあり、バスタブ・トイレもついていて、入り口付近には、屋外プールもあり、無料の
インターネットも用意されていた。海の見える長閑な場所にあり、前の道路は広く、駐車も容易
であった。難点は、湯の最高温度が38 oCぐらいで、日本人にはぬるいことであろうか。近くの
歩いて行ける距離に、レストランはあったが、店やスーパーなどは、ないようであった。長期に
のんびりと滞在するのに適していると思う。予約した仲介の業者では、このホテルの
メールアドレスなどを問い合わせても教えてくれなかったが、ホテルにあったパンフレットには
書いてあった。Tel: 2163 7596, E-mai: oceanreefhotel@hotmail.com

●Gozo島のホテルは、島の中心のVictoriaにあるホテルを選んだ。この町自体は坂のある
建物が密集している居心地があまりよいところではないが、ホテルは1本奥に入ったところで、
十分なひろさの無料駐車場があり、比較的静かで、スーパーも近くにある。景色を見る必要も
ないと思って、道路に面した部屋を取ったが、1泊当たり4.2 Euroだけ高い景色の良い部屋を
取った方がよかった。そうすれば、日曜には、花火が見えた。3星ホテルであるが、その後
泊まる4星ホテルよりずっと良かった。エレベーターは、部屋のカード(鍵)を入れないと動かない
システムが採用されていた。シタデルからの(超)遠景は、G418にある。

●Melliehaのホテルは、結果から言えば選択の失敗であった。この場所を選んだのは、
Valletta付近のホテルは、混雑した街中にあり、駐車も容易でないと思ったので止めた。
海岸に比較的近く、広々とした感じの場所を予想して、この地を選んだが、バスも通る急坂の
細いメイン通りに面していて、しかも駐車場もなく、裏の道に勝手に停めるように言われる。
2日間とも運良く1つだけ残っていた場所に停まれたが、これは運が良かっただけの話しである。
街は全くイメージしていた雰囲気とは逆であり、海岸からも大変離れていた。トイレは悪臭と
タバコの臭いがして、どうして、これが4星ホテルか分からない。向かいに海産物のレストランが
あったのが、良かったくらいであった。
  3つのホテルのうち、総合的な居心地は、星数の少ないほど快適であったのは皮肉で
あった。都会的なところほど、星数が多い一方、自分は鄙びたところほど心地よく感じるためであろう。

2.車と道路事情
 借りた車は、プジョー車で(C1:青の洞窟上の公園前で駐車中)、かってマルタはイギリス
の植民地であったので、日本と同じ左側通行で、右ハンドルである。ただし、方向指示器は、
ヨーロッパ大陸からの客に合わせて、左側についているから日本と全く同じではない(C2)。
ゴゾ島に渡る際も、車ごと渡れ、6泊の滞在であったが、車を利用しない場合の倍以上効率よく
好きな場所を廻れたと思う。道は、メインの通りは良いが、それ以外の道は、標識もほとんどなく、
地図を頼りにだけでは、なかなか目的地に着けず、迷ってしまうことが多かったし、結局分からず
に行くのを諦めたところも数箇所あった。人がいれば、英語が通じるので聞けるが、田舎に行くと、
人も見かけないところが多かった。
マルタ島もゴゾ島も、小さな島であるが、その中で、都市と田舎が、はっきり2分しているのは、
歴史的な理由があるのであろう。都市の多くは、道幅が狭く、住民以外の車は進入禁止か、
渋滞しているし、駐車するのも難しい。ホテルにも、駐車場がないところが多く、車での観光には
設備の整った国とは言えない。
マルタの観光地で、多くの観光客が行くスリーマ(Slima)やサン・ジュリアン(St.Julian’s)は、
駐車場の問題もあって、敢えて行かなかった。その点、バスは、ほぼ全域に行けるが、田舎は
本数が少ない。タクシーを借りきって案内してもらっている人の旅行記を読んだが、これは、
良い手段なのかもしれない。数人で乗れば、そう値段も高くないようである。

 9月12日から、18日(正午)迄、丸6日間で、246 kmで、今まで他地域で走行したのと比較すると、
1/5?1/4 程度のペースである。面積が小さい割りに、名所が蜜にあることを示している。
消費ガソリンは25 Lで、30.0 Euroであった。ガソリンは 他のヨーロッパ諸国同様、日本より
大分高いが、走行距離が少ないので、問題ではない。1 Euro? 150 円(当時)として、4500 円で
あった。スピードや駐車違反取締りの警官を見たことはなかった。
 
おわりに
 古代から、最近まで、地中海という歴史の中心に位置したことを感じさせる島である。
他の地中海の多くの島と違う点は、高い山がないことで、このことにより、水不足、草木不足を
もたらし、最近までは、農業で生活するには魅力のない土地であったのであろう。

 一方、地中海の位置からいって、戦略的価値は高いので、第2次世界大戦まで、戦争は
絶えなかった。住民は、さぞ苦難を味わってきただろうと思う。そういう過去の苦難とは、
むしろ対照的に、住民は、大変信心深く(カトリック)、素朴で、親切で、治安も良さそうである。

 一方、この国で一番見たかったのは、ブッシュ・ゴルバチョフ会談のモニュメント、日本海軍
兵士の墓、ハイポジウムであったが、その3つとも見ることが出来た。カート・ラッツの存在は、
旅行計画の段階で初めて知った。ハイポジウムは別として、自分が興味を持つところは、
一般の方の興味が無い所だと認識する。
世田谷区の5倍強程度の面積しかないこの国(世界186番目)の中で、都会と田舎が、
はっきり二分化され、大きな対照をなして存在し、田舎では、住民も観光客もいないところが
多かった。
同じ年(2008)の夏には、アイスランド(人口30万人(マルタ40万人); 面積はマルタの320倍)を
訪問したので、日本では、日ごろ全く考えない人口の少ない国の苦労の一端を認識できた。


マルタ写真館