CANADA3−7
●ドライブ
カナダの3地区では、AVISの車を借りた。いつも、B級の車を借りることにしているが、今回は、協和海外旅行社の野口さんに頼んで、予約してもらったが、全て、より大型のC級になっていたことに気付かなかった。しかし、どこでもそうであるが、実際に現地で提供される車は、大きさもまちまちである。今回は、アメリカ大陸では、より普及しているオートマ車であったが、バンクーバー地区のものは、車も大きく、燃費が悪かった(Chrysler社製Cruiser(2500cc)、British Colombia州登録)。自分は、車種に無頓着で、全く知識がないが、後から写真を見て判断する。カナディアン・ロッキー地域では、Chevrolet社製Cobalt(2000cc) (Alberta州登録)(Dv3)で、燃費は、そこそこ良かった。東地区のものは、フォード社製Fusionで、車体が大きく運転し難かったが、燃費は、バンクーバー地区ほど悪くはなかった。大西洋に面したNova Scotia州登録で、バンパーに、‘Canada’s Ocean Playground’と書いてある。深い意味は、良くわからない。この車は、ワイパーと方向指示器が一体になっていて、方向指示器を出す際に、左側通行者が、ワイパーを動かす間違いをしないで済む。

表2. 走行距離
日にち 6/21(木) 22(金) 23(土) 24(日) 25(月) 26(火) 27(水) 28(木) 29(金)
距離/km 237 102 407 324 21 +203 221 279 245 346

30(土) /1() 2(月) 3(火) 4(水) 5(木) 6(金) 7(土) 8(日) 9(月)
214 116+66 203 567 332 208 276 0 366 17

*)2地区にまたがる;バンクーバー地域:1091 km、C.R.地域:1624 km、東地区:2035 km、
   合計:4750 km

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●カナダのドライブ他国との違い
(1)カナダ独特のこと
・各国のドライブ事情は、微妙に違う。カナダのドライブ旅行記をネットで見ると、この国は広く、車の密度も小さいにもかかわらず、スピードと駐車の違反に大変厳しい国であることが予想された。ちょうど、オーストラリアとその点は良く似ている。基本概念としては、人間の安全保障の一環としての立場から行っているらしい。自分は、今まで、国内外で50万km以上乗っていると思うが、未だスピード違反で罰金を払わされたことはないが、最初から、この点には十分注意した。カナダでは約15日間のドライブ中、10回近くのスピード違反取り締まりを見たので、日本人が、捕まるのは良くわかる。しかも、当然のことながら、下り坂とか、町に入って、50 km/h に減速しなければならない要所どころで看視している。こんなに、高い頻度でスピード違反を取り締まっている国は、今まで見たことが無い。警官が取り締まっている場合は、警官が、筒状のもので車を見ている。同じようなやり方はオーストラリアでも見た。多分レーダーなのであろう。警官は、看視している1人しか見当たらないので、どうやって、その車を捕まえるのかは、分からない。多分、後から一方的に、証拠写真と罰金の通知が送られてくるのであろう。

オタワの近くで、高速道路に罰金額の大きな掲示があった。書き留めるのを忘れたが、10 km/h オーバーの値段から書いてあったと思う。

・東部地区の高速道路の出口近くに、運転しながら見える大きさで、その町の主な見所が書いてある。日本には無いと思うが、他国でもあったような気がする。ただし、カナダでは、その町にある大学名が書いてある。ほとんど、自分の知らない大学ばかりであったが、大学があることが町の誇りであるという風潮は好ましい。

・トロント空港で借りた車には前部にナンバープレートが付いていないで、後部のみである(Dv1)。その代わり、フロントガラスの隅に、小さなバーコードが張ってある。スピード違反は、このバーコードで車を認識しているのであろうか。今まで、訪問した各国で確認してきたわけではないが、前にナンバープレートが無いのは、この国のこの地域が初めてである。そのことのメリットは何なのであろうか、今でも分からない。因みに、前から来たパトカーにスピードを測られ、罰金を喰らったという人の話も聞いている。

・自分の乗った車ではないが、ケベック州登録の車の(後部のみの)ナンバープレートには、“Je me souviens”(「ジュ・ム・スビァン」と発音)とフランス語で書いてある(Dv2)(州花はマドンナ・リリー)。これは、「私は、忘れない。」あるいは、「私は覚えている。」というメッセージであり、興味深い。この意味については、ウィキペディアにも、英語とフランス語などで説明がある(http://en.wikipedia.org/wiki/Je_me_souviens)。ケベックの議事堂の入り口にある’coat of armes’「中世の騎士がよろいの上に羽織った紋章の縫いどりのある外套から、紋章」のこと)にある文からきていて、それは、“Je me souviens que ne sous le lys, je crois sous la rose.”(「私は、ユリ(フランスの象徴)の下で生まれ、バラ(イギリスの象徴)の元で成長したことを忘れない。」)から、来ている。(さらに、それは、「ユリの下で生まれたシャンプランの仕事は、バラの下で育った」という言葉に由来するらしい。)これは、その後、政治的色彩を強め、多くの人からは、「フランス(語圏)の歴史や遺産を忘れない」とか、「イギリス系の人々がフランス系の人々に対して行ったことを忘れない」という意味と解されている。1980年と1995年にケベック州の独立に関する投票が行われ、1995年には、49.4%対50.6%の極小差で否決された。これは、可決されなくても、独立運動は永遠に続く気がする。ケベック州一州だけでも、その面積は、日本(37.8万km2)の約4倍もある。

・ヨーロッパと違って交差点では、“round-about(環状交差路)”方式は、無いようである。少なくとも自分は1度も出会わなかった。バンクーバー空港で車を借りて間もなく、ホーシュウベイのフェリー発着所に向う途中、交差点で、左側から来た車にぶつかりそうになった。自分は、ヨーロッパのルールに従って、右側通行の場合、右側を主に注意し、右から交差点に入る車が優先という感覚で走っていたからである。ところが、ここでは、道幅のかなり広い道路が十文字に交差する場合に、両側共が一時停止になるらしい。そのルールがまだよく分からないので、自分の走っているこの広い道が当然、優先道路と思って、一時停止の標識を見逃したらしい。幸い、制限速度の50 km/hより、遅いスピードで走っていたので、直前で止まることができた。こちらも驚いたが、先方も驚いたであろう。

・上に述べた“Je me souviens”も、その1種だが、ナンバープレートに、州ごとに、何か一行書いてある。これは、アメリカと似ている。例えば、カルガリー空港で借りたアルバータ州の車には、‘Wild Rose Country’とともに、その花の模様が出ている(Dv3)。

・右側通行で、右折の際には、一時停止の後、信号にかかわらず、車が来なければ、行ってよい(ケベック州以外)。

(2)ヨーロッパと似ていて、日本とは違うこと
・車は昼間でも、ヘッドライトを点灯しなければならない。北欧などと同じである。これは対向車の存在を知らせるのに有効である。レンタ・カーは、エンジンをかけると自動的に電灯がつく。

・右側通行である。(イギリスなどは、左側通行)

(3)日本と似ていて、ヨーロッパとは違うこと
・車は、右側通行であるが、オートマ車が主流であるようである。

・ガソリンの値段が、比較的安い。ガソリンの値段は、例えば写真(Dv4)で示すように、ここでは、レギュラーが、1.079$/L(カナディアン・ロッキー地区で、他に、同地区で、1.169$/L、ケベックで、1.144$/Lの領収書が残っている。1.1$/Lとすれば、130円/Lで、ヨーロッパに比べては大分安く、当時の日本と同程度である。格安の米国の影響で、そう高くもできないのであろう。しかし、カナダはカナディアン・ロッキーの国立公園入場料を別とすれば、高速道路は無料であるから、実質、日本の半分程度と安い。昨今、日本はガソリン代が、諸外国と比べて安いといわれるが、高速料金が異常に高いので、実質、そういうことは全くない。自分は、ガソリンを大事に使うために、ヨーロッパのように、高額な税をかけ、それを福祉などに回すのは良いと思うが、日本のように、税を租税特別措置法で道路建設のみの財源に当てるというのは、塩川清十郎(元)財務相が言われるように、「母屋(一般財源)ではおかゆをすすっているのに、離れ(道路特定財源)では息子がすき焼きを食べている」というテレビ発言が表すようなものであると思う。

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F1-4
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●カナダの野草
野草については、全く何も知らないが、一応、興味はあるし、野山に咲く花は、見れば美しいと思う。家内は、野草に興味を持っていて、旅行の際には、小さなカメラでよく撮ってきたが、普通の愛好者である。今回も特に、旅行中、野草を探したわけではない。ただ、通ったところで、時間の余裕があったり、特に、目に引く花がある場合は、写真を撮ることにした。帰ってきて、インターネットを見て、名前を探すのも楽しい。これらのことは、デジカメとインターネットの発達に負うところが大きいので、10年ぐらい前から、外国旅行の際など、素人でもできる楽しみになってきた。以下に数種類についてだけであるが、コメントを述べる。写真は、名前が、ほぼ分かったものだけを載せるが、名称不明なものは、まだ十数種類ある。カナディアン・ロッキーのものばかりになっているのは、東部地区はインターネットに投稿が少ないので、名称不明のものが多く、載せられなかったことにもよる。

・インディアン・ペイントブラシ(F1):カナディアン・ロッキーの代表的な花で、特徴的なので、その気になれば、自分を含めて誰でもすぐ分かる。色合いから、種類は区別されるが、専門家でも、かなり難しいらしい。標高の低い所はオレンジ色で、高いところには、赤、ピンク、黄、白などがある。それで、色合いの違うものを、ここで並べてみた(F1-1〜-4)。いずれも、カナディアン・ロッキーのみで見られた。例えば、写真(F1-2)についていえば、色のついている部分は花ではなく、葉(包葉)で、脇に黄色い突起が出ているのが花だという。そういわれてみると、黄色い突起は、赤い「葉」に囲まれている。寄生植物で、根を他の植物に繋げて、そこから栄養をとる点でも、大変変わった植物である。

・つくし(F2):ボウ湖(カナディアン・ロッキー)の湖畔で「つくし」を見つけた。ネットで見たら、ボウ湖の近くでつくしを見つけたという話が出ているので、やはり、これは、「つくし」なのかと思う。
英語で、horsetailということを知って英語で検索したら、カナダの政府のサイト
http://www.cbif.gc.ca/pls/pp/ppack.info?p_psn=71&p_type=all&p_sci=comm&p_x=px)に、
カナダの毒草(Canadian Poisonous Plants)という表題があって、Marsh horsetailは、カナダ全域にあり、チアミナーゼのほかにアルカロイドを含み、牛や、希に羊に毒であるとの警告がでている。marshは沼地の意味だから、ボウ湖のものは、これに当たるのであろう。horsetailというのは、その名前からして、スギナの方を指すのであろうし、そこに出ている写真は、一部にはつくしも出ているが、全部にスギナが載っているから、つくしそのものの記述かどうかは確かではない。35年以上前に、スウェーデンのイェテボリーに家内と住んでいたときに、つくしを見つけて、多量に取ってきて、ゆでて食べようとしたら、まずくて食べられなく、すぐ捨てた。その時は、種類が違うものと解していた。毒なのは、つくしも含めてなのかどうか分からないが、食べなくてよかったと今思う。広辞苑で見ると、つくしは早春に生ずるスギナの胞子茎で、食用とすると、確かに書いてあるし、子供の頃は、探して取るのが楽しく、ときどき食べていた。今度、機会があったら、専門家に、聞いてみたいと思う。

・ゴゼン・タチバナ(F3):この花は、カナダではBunchberryというらしく、日本にも中部以北に広く分布している。カナダでも、バンクーバー島(F3-1)とモン・トランブラン(F3-2)と遠く離れた場所にあった。カナディアン・ロッキーでは、同じような、白い花を咲かせたものが多く、それらの同定がしばしば難しいが、この花は、特徴的なので、すぐ分かる。

・シャゼン・ムラサキ(F12): この草についての公の機関の意見募集という記事がネットに載っている。この油はechium oilといわれ、食用になるという可能性があることと、こうやっ
て意見を募集するという制度があることを知った。
シャゼンムラサキ(エキウム)油について意見募集(2006年8月16日):
http://www.foodstandards.gov.uk/news/newsarchive/2006/aug/echium
新規食品成分としての精製シャゼン・ムラサキ油の使用申請について2006年9月6日まで意見を募集する。シャゼン・ムラサキ油はEchium plantagineumの種子から抽出される植物油でオメガ6及びオメ
ガ3不飽和脂肪酸が多い。

・カエデ(F18):これは、野草ではないが、国旗(FL)にあるように、カナダを象徴する植物なので、ここに載せる。このカエデは、オタワの国会議事堂横で写したものであるが、勿論、紅葉の名所ロレンシャンなど、カナダ東部ではいたるところにあった。国旗の両側は、太平洋と大西洋を現し、葉の先端と枝を合わせた12の数は、10州と2準州を表す(1999年に北部のヌナブト準州が加わって3準州)。1965年から、採用され、それ以前のものは、イギリス国旗が左上にあり、フランス系国民からは、反発を受け大論争があったそうである。

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●終わりに
カナダの3地区(バンクーバー、カナディアン地区、東部都市地区)の3ヶ所を、それぞれの地区で車を借りて、家内と、2007年6月21日から、現地19泊、4750 km走行した。事前の調べ不足などでバンクー
バー地区は、あまり見られなかったが、他の地域は、表面的ながらも、十分満喫できた。カナディアン・ロッキーの景色は、素晴らしかったし、フランス語圏のケベックの雰囲気も良かった。英語が通じ、フランス語も使われているのは、自分にとって旅行地として、理想の所でもある。どこも安全な国で、観光案内所も世界有数の便利さを有している。季節も北国では、最高の時期で、夏のカナダは、パラダイスであった。国連から出される人々の生活の質や発展の度合いを示す人間開発指標(HDI)でも、カナダは世界第6位(2006、日本は7位)を占めているから、住みやすいところでもあろう。
写真説明
●ドライブ
Dv1:前にナンバープレートのない車
Dv2:プレートに付いた「私は、忘れない」
Dv3:州花の ’Wild Rose Country’と花の模様
Dv4:ガソリン・スタンドの値段表示

●カナダの野草{表記のないものは、カナディアン・ロッキー地区}
F1:インディアン・ペイントブラシ
 F1-1:{クロウフット氷河駐車場}
 F1-2:{マリーン渓谷}
 F1-3:{ボー湖畔}
 F1-4:{クートニー国立公園山火事跡}
F2:つくし
F3:ゴゼンタチバナ
 F3-1:{トフィーノ(バンクーバー島)}
 F3-2:{ロレンシャン(モントリオール近郊)}
F4:ホワイト・グローブ・フラワー
F5:ホワイト・カマス
F6:ウエスタン・アネモネの開花後
F7:ハートリーフ・アルニカ
F8:イエロー・コロンバイン
F9:ブラウンアイド・スーザン
F10:イエロー・ドライアド
F11:ブルー・ベル
F12:シャゼン・ムラサキ{シャルルボワ}
F13:フォルス・ハックル・ベリー
F14:コモンピンク・ウインターグリーン
F15:ノーザン・ローレル
F16:ウエスタン・ウッド・リリー
F17:コウリン・タンポポ{ロレンシャン}
F18:カエデ(オタワ)