●野天温泉 2月3日(金)

クライストチャーチで2泊して、北に向かう。ハンマー・スプリング温泉という有名なところがあるが、
そこから80 kmほど西側、奥に入った山間のマルイア・スプリングスという赤倉温泉によって開発
された温泉があり、その方が面白そうなので、まず行ってみる。山間ではあるが、主要道路に面した
この場所にほとんど客はいない。露天風呂と男女別の大浴場に入れる入場料はシニアでわずかに
$7(560円強)の安さである。露天風呂というところは、3つほど(浴槽)池があって、水着着用で入る
が、白人の年配の1組しかおらず、我々だけである。温度は、40度程度でぬるめである。そのうちに
その客も大浴場に行ってしまい、乱舞するニュージーランド特有のブヨ(サンドフライと言われる蝿の1種)
に弱い家内も退散し、私1人になったので、記念にと、ロッカー(鍵もない、銭湯の脱衣所みたいなところ)
にカメラを取りに行き、岩の上に乗せて、セルフタイマーで写真を撮る。温泉は、硫化鉄が、何かひも状
になっていて浮いていて奇麗ではなく、下は、大きな石が転がった状態で、山間にあり眺めもそう良くは
ないが、1人で、広々としたところにゆったりと浸かっている開放感はなかなか味わえないものである。
しばらく、浸かってから、大浴場(ここは、日本のそれと同様、脱衣して入る)に行ってみたら、先ほどの
白人客が出るところで、この男湯も私1人という贅沢さである。中には大浴槽の他に日本人用の暑い
(42-43度)湯船があった。
家内に聞いたら、女湯は、日本人のワーキングホリデーで来ている人を含めて他に3人ほどいたとの
ことである。他に個室風呂があって、45分で1人当たり$15だそうで、新婚旅行に来た風情の中国人
(日本人?)の若い男女などが利用しているようであった。温泉の入り口は、喫茶店、みやげ物や、
日本料理レストラン入り口などになっていて、コーヒーなどを飲んでいる客は、何人かいた。
日本料理レストランは夕方6時開店と書いてあった。これで、経営が成り立つのかと心配したが、
帰国して、ツアーの案内の広告を見ていたら、どうやら、日本の団体が、レストランで食事し、星空を
見ながら、温泉に入るらしい。宿泊施設も付随してあるのかもしれない。マルイア・スプリングを出て、
ハンマー・スプリングにも立ち寄ってみた。ここは一大観光地になっていて、中でコーヒーだけ飲みたい
と行ったら、無料で入れてくれた。温度の少し違った(28−40度)8つほど野天温泉プールがあり、
多数の、子供連れが多い。日本にもよくあるプールといった雰囲気のところで、マルイア・スプリング
とは全く違う雰囲気で、マルイア・スプリングに行ってよかったと思った。なお、ブヨは、マルイア・
スプリングス以後もしばしば遭遇することになる。後で、みやげ物店でinsect repellerというこの
虫避けの薬を買ったが、この時は日本から持参の蚊避けのチューブ入りの薬(スプレーは飛行機
では運べない)を用いた。この虫は、喰われた当初は蚊ほど痛くないが、後になって膨れてきて、
跡が残ることもあるので注意しなければならない。森と水の境界付近に、日の出ていないときに
出てくるが、夜には出ないようで、蚊とは出る条件が微妙に異なる。
●いっぱい過ぎるタマちゃん 2月3−4日(金、土)

ハンマ―・スプリングを辞し、カイコウラに夕方着いた。ニュージーランドの土地の名称は、英語の
ところと、原住民が付けたものに2分される。後者は、もともと同じ言語なのかどうか知らないが、
ハワイの地名のような響きである。要所は英語名称になっているから、言い換えれば、原住民の
名前の場所はそれだけ、田舎で自然が残っている。日本名としても通じそうなカイコウラのモテル
のレセプションでは、鍵の他に牛乳瓶を渡されてちょっと驚く。これから、先々泊まることになるモテル
では、どこでもそうであったが、朝食の際にコーヒーなどに入れて飲めということらしい。そして、モテル
には、どこもキッチンがついている。場所によっては2室あったり、子供用のベッドがあったりする。
ホテルより一般に安く、設備も良いので車で旅する限り、モテルの方がずっと良いことが分かった。
違いはレストランが付いていないということらしい。カイコウラにはホエールウオッチングのつもりで
行ったが、ホテルで聞いたら、晴れていても船は大揺れとのことで、3時間半も、船酔いしていたら、
鯨見物どころではないので、急遽取りやめて、半島の先端にあるオットセイのコロニーを見に行くこと
にする。先端に行くと遠方の岩の上に数匹いるので、いっぱい写真を撮る。崖の上の散歩道を歩いて、
ある所で下に下りると大きなコロニーがあるというので、急斜面の崖を下りて自分1人だけ行ってみる。
大きいオットセイ(茶色)は、岩の上で寝そべっていて、子供の小さいオットセイ(黒色)は、岩の間の
打ち寄せる波の中で盛んに泳いで、遊んでいるように見える。どのくらいまで近寄れるのかよく分から
なかったが、この頃は未だ珍しかったので10 mぐらいまで近づいて写真をいっぱい撮ったが、こちらに
気付いているのかどうか分からないが、全く無視されている。これ以上近づいて、驚かしても悪いと思い、
引き上げる。車で、ピクトンに向けて北上し、ホテルで教えてもらったOhauという所に通ったら、道路に
面した駐車場から、100匹ぐらいが見渡せる。これ以後もしばしば、オットセイを見ることになるが、
ここほど多くいるところは無く、自分も飽きてしまって、それ以後はあまり注意してみることはなくなった。
こんなに多く保護されていて、人間様の食べる魚が横取りされて大丈夫かと心配になる。その直前の
場所でも、遠くの岩に見られるので車を止めて遠くを見ていたら、後から来た家族連れの人たちが、
すぐ近くに大きな1匹を背景に写真を撮り始めてごく近くに2 mを越す大きな1匹が寝そべっていること
に気付いてなかった。5 mぐらいまで近寄ってもちっとも動じなかったが、近づいて邪魔しても悪いので
それ以上は近づかなかった。案内書には驚かさないためにも、10 m以上近づかないことと書いてある
のを後になって知った。
 更に北上し、マールボロ付近で、製塩された塩が10 mにも山積みされているのが遠くに見られたので、
珍しいので、わき道に入って見に行った。後でネットで調べたら、”Marlborough Flaky Sea Salt”という
製品として売られているらしい。専売なのか会社名ははっきりしない。工場は、土曜でもあり、誰も
いないようで、柵もなく、その山に、近づけるので、一粒を取って味で確かめた。製塩現場を近くでみる
のは初めてで、雨が降ったら、どうなるのかと思うが、少々の雨では、この山積みの塩には影響ないの
であろう。あたりには、広々とした塩田がいくつもあったが、何故か、赤っぽい色をしている。山積みの
塩の脇に列車の線路があるので、列車で運ばれるのであろう。オーストラリアは我が国の塩の主要
輸入国なのでニュージーランドからも多量に輸入されているのかと思って帰国後調べたら、メキシコと
オーストラリアが2大輸入国で、それぞれ、年間約380万tであるのに対し、ニュージーランドはわずかに
1tである。わずか1t輸入する意味は何なのであろうか。きっと、ここの塩に違いなく、何か特長があるに
違いない。
ピクトンには、早くモテル着いたので、モテルの人に聞いて、近くを一周する。湾の近くで、天気もよく、
高台から見た景色が美しい。森の中に散策で入ったら、焚き火をしているような、パチパチという音が
するが、煙が全く見えない。そのうちに、それが蝉の一種と思われる虫が、羽で下腹部を叩いている
音と分かる。多分、雄の求愛のための行動と推察する。
 写真説明:
 3) マルイア・スプリングスの野天風呂。
 4) オハウ(Ohau)のオットセイのコロニー(カイコウラの北);この写真に写っている3倍ぐらいの範囲にわたる。
 5) 製塩工場現場:Marlborough付近。
 6) ニュージーランド特有の蝉;羽根を震わして 鳴いている