●ワイナリー街道と地下から湧き出す湖 2月5日(日)

ピクトンを朝出て、前日も通ったブレナムのワイナリー街道を行き、10時近くになったので、
任意のワイナリーに入った。Hunterという会社(六本木にも販売所を持つ)のワイナリーであったが、
開店早々であり、他には客はいない。いくらでも、テイスティングさせてくれるが、運転するので、
舐めるだけにする。ワインを購入してから、ついでに、裏のブドウ畑を勝手に見せてもらう。
ワイナリーは昨年ボルドーなどでいっぱい見ているので、そのブドウ粒の小粒の一見したところの
貧弱さには慣れていた。ネットが掛けてあるものと無いのがあったが、この違いは何によるので
あろうか。数キロメートルにわたって両脇にワイナリーが続く。
その日の宿泊地のネルソンには早く着き、モテルの人の薦めで高台に行き、湾を見下ろす。
すばらしい眺めである。タカカにあるププ・スプリングスという湧き水の湧き出ている湖を見に行く。
上流のタカカ川を水源として、地下を通ってここで湧き出ているとのことである。行く途中、
鍾乳洞(Ngarua caves)があったので、立ち寄る。1時間ごとにある、案内付きの45分間のツアーで、
客は、3人の子供を連れた母親のもう1組しかいない。このケーブのよい点は、フラッシュ付きの写真
が自由に撮れる点である。今まで、アルタミラ、ラスコーのコピー洞窟、フランスのPadiracをはじめ多く
の洞窟を見てきたが、コピーでさえ写真撮影禁止が多いところを、ここは、自由撮影できて有難い。
撮影どころか、案内人が鍾乳石を叩いて、いろいろな音を出してみせてくれた。何万年もかけてできた
ものが折れたらと、こちらが心配になる。ここには昔の壁画などは無いのかと聞いたが、考えてみれば、
人類が住みだしてから千数百年しかたっていないので、古代などは無く、馬鹿な質問であった。
入り口のカフェ兼みやげ物屋では、中で結婚式をあげた3組の写真が掲げてあった。洞窟で結婚式を
挙げる意味を考えてみたが、「偕老ドウクツ」というくらいだから、きっと縁起が良いのかもしれないと
いう駄洒落を考えた。
ププ・スプリングは、水量がものすごく、富士山の麓の忍野八海の比ではない。透明度も国内最高との
ことである。潜望鏡の原理を逆にしたように、地上から、湖内を横に見渡せる大鏡のついた装置が
あって、見渡せる。鏡に藻などが付かないようにどういう工夫がされているのか知りたいが、説明人など
いないし、入場料などを取るような具合にもなってない。車で来て見物時間も入れて往復30分ぐらい歩く
ところにある。帰りの出口にいる若い女性(環境団体)の訪問目的などのアンケートに5分ぐらい答えさせ
られる。ここに来る人はGolden Bay一帯を目的とする観光客が多いらしく、我々は、このププ・スプリング
だけを主目的として来たので、質問が、我々の訪問意図とはかみ合わなかった。さらに時間を割いて
Golden Bayをもっと北まで徹底的に回るのも良いだろうと思ったが、我々は、予定が組まれているので、
そこを南島訪問では最北端としてネルソンのモテルに戻った。
●つり橋とパンケーキ岩 2月6日(月)

ネルソンから、次の宿泊地、西海岸のグレイマウスまでは、距離も長いし、途中、あまり見る所も無い
ので、ひた走る。途中、Buller Gorge Swingbridge という、つり橋があったので、渡ってみる。
下を見ると怖い。歩いて渡る以外に、腹ばいの格好をして、対岸からこちらへすべり渡る装置など
もある(コメットラインと呼ばれ、大人$25である)。つり橋は、これ以後何度も渡ったが有料のところは、
ここだけであった。渡った先には金鉱の井戸跡などがあるが、たいしたところではない。グレイマウスの
直前の海岸にパンケーキ岩というのがあって、ちょっと不思議なことに、主要観光地路線から離れた
この地に、観光バスで観光客がかなり来ている。入場料などは取られない。ここにも周りにオットセイが
いるが、もう珍しくなくなった。ホテルのレストランでは、生牡蠣が食べられたが、あまり新鮮ではなかった
から、食べる人が少ないと推察する。幸いあたることはなかった。
●キーウィ鳥と氷河 2月7日(火)

グレイマウスを出てフランツジョセフに向かう。途中、ホキチカに立ち寄り、観光案内所に行ったら、
キーウィセンター(Eco World)を薦められる。屋内にあって、鰻の養殖所などを見て、最後にキーウィ
のいる部屋に来る。半径7−8mはある半円状になっている。真っ暗であるが、やがて目が慣れて
くると、キーウィ鳥が、敷き詰められた枯れ落ち葉の中で、長い嘴で虫を掘り出して食べているらしい
ことが分る。ときどき、何かに驚いてか、けたたましい声をあげて走り回る。極めてデリケートな鳥で
あるということで、フラッシュ撮影などは厳禁されていて、デジカメで、約40枚も撮った写真は皆真っ黒
で、写っていたのは、そこの看板に写っている写真だけだった。絵はがきで明るい晴天下で写っている
ように見えるのがあるが、どうやって撮ったのであろうか。夜行性であり、自然の下では、絶滅に瀕して
いるが、この国の国鳥である。形は特徴があるが、美しい鳥ではないし、鳴き声も良くない。
フランツ・ジョセフでは、一旦モテルにチェックインしてから、氷河を見に行く。氷河に実際に立ち入る
には、案内付きのツアーに参加しなければならないが、時間の関係もあり、一般に立ち入れる縄を
張った境界線以前で見物した。看板に19世紀末からの氷河の縮小変化の様子が示されていたが、
大分小さくなっているのに驚く。しかし、氷河の拡大・縮小のメカニズムは複雑で、未だ完全に解明
されていなく、地球温暖化のためばかりとは結論できないらしい。緯度は南緯44度でクライストチャーチ
とほぼ同じで、日本なら、大雪山や知床に氷河が存在することに相当するから、この辺は大分寒く
、積雪も多いのであろう。昨年、ノルウェーで見たものより大分汚れているが、季節が遅いのか、
近くに土を巻き上げる広大な地があるためであろう。
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写真説明:
7) ブレナム(Blenheim)のワイナリー(Hunter社)。
8) ヌアルガ鍾乳洞;案内人付きツアー。
9) ププ・スプリングス(Takakaの近く):
   横に見えるボックス状の装置は潜望鏡の原理で、
   水中の水平方向が見える。透明度はニュージーランド最高と言われる。
10) パンケーキ・ロック。
11) フランツ・ジョセフ氷河