●旧ゴールドラッシュの町とツチボタル見物 2月10日(金)

前日、夕方に下見していた、ホテルから車で20分ぐらいのアロータウンに行く。ここは、
1862年にアロー川で金が発見されて以来、ゴールドラッシュの町として栄え、最盛期に
は7000人も住んでいたという。今も、何故か、観光客で、賑わっている。しかし、朝早い
ためか、ほとんど人がおらず、ちょっと外れにあるチャイニーズ・ビレッジにも、中国人5−6名
の観光客しかいなかった。ここは、ゴールドラッシュの時に出稼ぎに来た中国人の当時の
家が点在するだけである。1970年代にヨーロッパの視察団が我が国の家を鳥小屋のようだ
と評したが、この中国人の家は本当に豚小屋みたいであり、ここで、貧乏に暮らし、出来る
だけ本国に送金したが、ここで一生を終えた人はほとんどいなかったとのことである。文字通り、
出稼ぎに徹底したそうで、そのタフさには、驚く。これらの家は、ニュージーランドの歴史記念物
として保存されている。町の博物館(Lake District Museum)では、シャベルとボールを貸して
くれ、ショットオーヴァー川で砂金取りができるようだが、実際にやっていたのは子供1人だけ
だったので、やってみたくもあったが体面もあるので止めて、次の目的地ティアナアウ(Te Anau)
に向かう。いっぱい町にいる観光客は、一体何を目当てに来ているのかと不思議に思う。前日
通ったバンジージャンプの場所もまだ早いのか誰もいなかった。ティアナウに行く道中、道路の脇に、
ダチョウを飼っているところがあり、好奇心の強い人が、車が道端に停めて、ダチョウの写真を撮り
にいっている。私も車を停めて、家内を車に残し見に行く。ダチョウを至近距離から見るのは初めて
で、2mぐらいの高さで、大変迫力のある顔をしてこちらを睨んでいる。顔だけでなく、脚の付け根や、
つま先あたりも迫力があってすごい。人間の方が怖くて金網から引いて見ている。誰も、何をやったら
よいのか分からないらしく、餌をやっていないが、餌が欲しいのか好奇心が強いのか、ダチョウの方が、
網にへばりついて人間を睨んでいる。1ヘクタール以上はある広い運動場があり、人間などを相手に
せず行動しているものもいる。帰路もここを通ったので、また見る。常時、車が、3,4台停まって見に
出ている。
ティアナウは、ティアナウ湖に面した、湖岸の人通りも少なく、落ち着いた感じの町である。湖上には、
観光用の水上飛行機も浮いている。ここの観光の目玉は、ツチボタル(Glowworm)見物で、その観光
は、Real Journey社が独占で行って、我々は、2時から始まるツアーを日本からネットで申し込んで
いた。1人$49で、申し込んだ段階でクレジットカードから落とされる。中国人(台湾)の団体客が
多かったせいか、次の便まで待たされていた人もかなりいたので、日本で申し込んでいたのは
正解であった。昼ごろ着いて時間もあったので、ここからミルフォードサウンド方面に40kmぐらい
離れたモテルにチェックインする。ツアーは、ティアナウ湖を50分近くも船で行った先の洞窟にあった。
一行、50−60人程度であろうか。行くまで、こんなに遠くまで行くとは知らなかった。着くとまずホール
で、ツチホタルの紹介の映画が上映される。それから、十数人のグループに分かれて、途中、3度 
ボートに乗ったりして洞窟を廻る。ある区間は全く電気も消えて、洞窟の岩に付いたツチボタルが
星のように見える。ほとんど瞬きしない。フラッシュは勿論禁止だし、フラッシュを焚けば、輝きが
写らないから、同じことではある。立ち止まって写したら、少しは写っているものがあった。キーウィ鳥
の時よりは明るいのかと、不思議に思う。合計3時間のツアーで、町に戻り、これも案内書に書いて
あるホテルで食事して、モテルに帰る。9時近くで、全く、周りに何も無い、静まりかえった湖のほとりの
モテル内の木立の中で、鶯(鶯ではないと思うが)に似た、しかしもっと間延びした鳴き声で鳴いている。
●ミルフォードサウンド 2月11日(土)

南島の観光ハイライトの1つミルフォードサウンドに向かう。朝ホテルで道中の名所の地図をもらい、
是非見るべきところに印を付けてもらう。途中、Mirror Lakeという所が、道端にあり、そこには、
水に映った字が、正しく見えるように書いた看板が水際に刺さっている。大した所ではないが、
このアイディアがよいのか、通る観光バスは皆、止って、客が歩いて見ていく。ミルフォードサウンド
は、陸の孤島のようなところで、山を越えて行った道を帰りにまた通らねばならない。一回、信号で、
交互に通す割合長いトンネルも越えねばならない。ここは、船でフィヨルド状の湾の中を巡る以外に
観光する方法がない。5社が、同じホール内に売り場を設けて営業している。前のモテルでどこの社
が良いか聞いていたので、一番小さい会社の船を選ぶ。小さい方が崖により近く近づけるとのことで
ある。大きな船は、団体が乗って、中で食事もするようなシステムになっている。ちょっと不思議なの
は、食事を別にして、時間が違ったり、会社が違ったりすると乗船代が微妙に違う。両岸の山が、
急斜面で、形が面白い。オットセイがいるところがあるが、数は数匹である。ここは年間、8000 mm
と日本の平均の約5倍の雨量があるそうで、言い換えれば、毎日、雨が降っている状態である。
ただ日本の雨と違うのは、1日中降っていることはない。我々も、2時間のクルーズ中に、一時、雨が
降ってきた。写真や絵はがきに見られる晴れ上がった景色は、めったに見られないものなのであろう。
国立公園で、ホテルも、Milford Sound Lodge一軒しかなく、知らないで予約したら、バストイレは、
共同で、山小屋の様であった。共同の広間や、炊事場はあって、若い人は食事をそこで作っている。
日本の団体は、この地は、クイーンズタウンやテアナウあたりから日帰りするとか、船上で宿泊して
いるようである。日程を割いて、この雨の多い陸の孤島にわざわざ来る価値があるかどうかは、
見解が分かれるかも知れないが、自分は面白かった。
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 写真説明:
 
17)アロータウンのチャイニーズ・ビレッジの家の跡。
 
18)クイーンズタウン---テアナウ間の道端にあるダチョウ飼育場。
 
19)ミルフォードサウンドへの道の脇にあるミラー・レイク。
 
20)フィヨルドの観光船からの眺め:ミルフォードサウンド