●クイーンズタウンの鹿公園 2月12日(日)

大雨のミルフォードサウンドを早朝7時前に脱出する。陸の孤島で、雨で、道が閉鎖になったら
どうしようと心配したが、この辺はいつでも大雨に見舞われるので、それに耐えるように道が
出来ているらしい。周りの山からは、昨日は無かった、雨で一時的に出来た無数の滝が落ちて
いる。しばらく行きテアナウ辺りでは雨が上がっていたので、地域に特有の雨なのであろう。
クライストチャーチは3日前に決めていた鹿公園に行く。車しか入れない広大な山に、動物が放し
飼いに展開されている。山の頂上付近に金日成を模した大きな看板のある映画セットが、辺りの
風景とミスマッチして残っている。「The Rescue」という映画(1986年)の中で監獄セットとして
使われたとのことである。「ロード・オブ・ザ・リング」に使われた場所も多くあるとのことである。
リャマやバイソンは初めて見た。3日前と同じホテルに泊まる。ホテル内にボーリング場、サウナ、
屋外風呂(湯の温度は40度弱で、円形で、水着を着て入り、中で向かい合っておしゃべりするもの
で、米国などで流行っていると新聞かテレビで見たことがあるが、実物を見るのは今回が初めてで、
クイーンズタウンのホテルでは実際に若者数名が入っておしゃべりを楽しんでいた)、プールもあるが、
誰も利用していない。
●マウントクック(Mt. Cook) 2月13日(月)

原住民の言葉では、アオラキというので、正式にはアオラキ/マウント・クックというらしい。
南島の観光のハイライトであるMt. Cook(標高:3754 m)は晴れていなければ、見られないので、
ここに1時間程度で来られる距離のトゥワイズル(Tweizel)とTekapoに、ホテルを各1泊ずつ予約
した。初日から、雲1つない晴天に恵まれる。後で知ったが、年平均降水量4000 mm、降水日数
149日というから、大変運が良かった。トゥワイズルには12時前に着き、モテルにチェックインして
予め鍵を貰う(9時にはレセプションを閉めるとのことである)。そこから、道中、あちこちで止り、
Mt.Cookの写真を撮りながら、Mt.Cookの基地であるハーミテージホテルに着く。舗装された道の
終点は、このマンモスホテルの小さな駐車場が終点になっている。運良く1台分空いていたが、
後から来た人たちはなかなか停まれない。長い廊下を通ってレセプションに行き、氷河ツアーを
申し込む。本日2時の分は満員で、次回は翌日10時か2時とのことであるが、天気は良くない
だろうという。それで、本日2時のキャンセル待ちをしたが、キャンセルは無しで、参加できなかった
が、結果的には良かった。レセプションの横はみやげ物売り場になっていて、レセプションの前の
広間を往来している人、みやげ物屋に出入りしている人の7割は、団体旅行の日本人のようである。
ここは、国立公園であり、丁度富士山の周囲に勝手にホテルが建てられないと同様、一帯は、
ハーミテージホテルの独占経営となっている(ユースホステルは1軒あるが)。そして、大した部屋で
はないと思われるが、非常に高価である。そして、観光案内所で配られている日本語版もある地図
には、ハーミテージホテルと関係ないと思われる道などの記述がない。これでは、その辺を歩くことも
出来ない。仕方がないので、日本の案内書に従って、一番良いと思われるフッカー・ヴァレー・トラック
を選ぶことにする。ハーミテージホテルは、過去の開発や自然保護に貢献した実績が認められて一帯
の独占営業権が与えられているものと思うが、行儀の良い、文句も言わない、お金を落とす日本人の
団体が多くくれば十分営業が成り立つという甘えに胡坐をかいているところはないかというのが、
文字通り独断と偏見に基づいた感想である。
観光案内所でくれる地図に記載が無いので、道路も、持参の日本の案内書の地図に従って行く。
ホテルに来た道を少し戻って、脇の舗装していない道をホコリを巻き上げ、このトラッキングの
出発点のホワイトホース・ヒル・キャンプ指定地に行く。ここはキャンプ場になっていて、広い駐車場
がある。ここから、2つのつり橋を渡り、約2時間弱かけて、フッカー湖まで歩く。道は、マウントクック
に向かってはいるが、川に沿っているので、ほぼ平坦な道であり、山登りの苦しさは全くなく、
ほとんどの行程で、山を正面に見て歩ける。フッカー湖までの四分の三ぐらいのところでは、
川の流れの後ろに山が見えて、絵はがきなどに採用されている場所がある。ちょうどそこに、
20−30人の日本人の団体が、2名の案内人に連れられて着いたところであった。ここが、
最終点と案内人が言っていた。多分、ハーミテージホテルからの、オプショナルツアーなので
あろう。道中、団体に会ったのは、これだけであった。更に行くと、フッカー湖に出る。ここには、
日本の8月に相当するというのに未だ氷が浮いている(流れがあるから浮いているのではなく、
水底まで氷なのかもしれない)。水は真っ白に濁っていて、氷は泥で汚れているので、美しいと
いうより、異様という感じである。これより先に行くには、橋の無い川を越えねばならないので、
初心者には無理である。ゆっくり景色を見ながら歩いたので、往復4時間かかった。ここで、
景色を楽しんでいる人は、常時数グループという少なさである。初心者が、防寒具程度の装備でも
歩けるコースであった。少し、急げば3時間あればよい。但し、キャンプ場までは、車の便がないと、
ハーミテージホテルからは来られない。タクシーは、無かったように思う。天候が悪ければ、行っても、
しょうがないところであろう。
元の駐車場に戻ってきても、まだ時間があったので、別の所(Blue Lakes Shelter)に行って、
そこから30分ほど山を登って氷河展望台からタズマン湖や、広大なタズマニアンヴァレイ、遠くに、
マウントクックを別の角度から眺めた。7時頃と遅かったためもあるのか、2,3組としか出会わな
かった。なお、マウントクックは、サザンアルプス山脈の最高峰であり、連山の1つなので、遠方から
は、どれだか確認することは難しいこともある。その点、富士山とは違う。世界的にみても、富士山は
文字通り比べる山もないくらい美しい。まだ明るいが、トゥワイズルで夕食にありつけるように、8時ごろ
に、駐車地点に戻って帰る。途中、観光案内所が、みやげ物店と、レストランを兼ねているところがある
が、昼間の賑わいが嘘のように、受付に1人しかおらず、レストランは閉まっていた。帰りは、前後、
対向車とも、ほとんど無かった。50分程度でトゥワイズルに戻り、食事に間に合う。入ったレストランは、
バーを兼ねていて遅くまで営業しているこの町唯1つの店のようである。ここのモテルは2室もあり
ながら、ハーミテージホテルの1/4―1/5の値段で、Mt.Cookに車で行くなら、ここで泊まることを
お奨めしたい。
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 写真説明:
 21)  リャマ:クイーンズタウンの動物放し飼いのディアパーク。
 
22) アオラキ/マウント・クック;フッカー川。
 
23)  フッカー湖;2月(日本の8月に相当)というのに、多くの氷の塊が見える。