6. ドューピヴォーグルからデッティフォスを回ってミーヴァトンへ

 ホテルの本館に行って朝食を済ませ、9時10分に出発する。1号線からちょっと外れるが、ストズヴァルフィヨルズゥル(Stodvarfjordur)というところにペトラおばさん(Petra Sveinsdottir)が周辺で集めた鉱物博物館があることを本で知って、訪問するつもりであった。ドューピヴォーグルからベルフィヨルド(Berufjordur)に沿って回り、Breiddalsvikの郊外で、(旧)1号線から離れ96号線に入って東に進む。1時間強で、石の博物館に着く。
 博物館はフィヨルド沿いの主要道路に面しているので、走っていたらすぐ見つかった。昔は、無料であったが、現在は入場料がいる。切符売りのご夫人は、写真で見るペトラおばさんとよく顔が似ているから、娘か、孫なのであろう(Dt1)。中は、屋外と屋内の両方に展示があり、その量の多さ(約6万点)にびっくりする(Dt2)。70%は、この地方のもので95%は国産だそうである。鉱物の専門家が見たら、さぞ面白いものであろう。素人の自分には、どれが、珍しく、貴重なのか分からないのが残念である。庭は、花なども植えてあり奇麗である。青い芥子の花まであった(Dt3)。入場者は他には、ほとんどいなかった
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[新トンネル] 
写真(Mp4)に示す道標で、青字の22より左方(西)に入って赤字の37、33を通って上方(北)のエイイルススタジル(Egilsstadir)に至る道が、(旧)1号線で、今回購入した地図でも、LP(2007年)の地図でも昔のままになっているし、見た限りの旅行記には出ていなかったので、割合最近できたものであろう。それが、今回、地図(Mp4)の23の場所にある博物館に立ち寄ったために、そのまま進んで、956号線の延長上の新トンネルを通ることができた。石の博物館に行ったお陰で、全く知らなかった新しいルートでエイイルススタジルに苦労も無く着くことができた。旧1号線は、いろいろな旅行記を読むと、かなり道が悪く、しかも、崖の下を通るので、落石を避けるために反対側車線(南下する場合)や、中央を走ったという記述があるので、一番危惧していた場所であったが、このトンネルの開通で大変楽になった。
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前に少し話しを戻して、このトンネルに入る前は、ファスクルーズフィヨルド(Faskrudsfjordur)に沿って西に進む。対岸にFaskrudsfjordurの村落が見える(Dt4)。フィヨルドの奥にあるT字路を左に曲がり(Dt5)、すぐトンネルに入る(Dt6)。もし、右に行けば、この村落に行けるが、この地域は、1800年代後半から1914年(第1次世界大戦)まで、フランスの漁師が来ていたので、現在もその名残で、町の標識はアイスランド語とフランス語が併記されているとのことである。この近くに出来たアルミニウム工場(Fjardaal Smelter)近くに人が移ったために人口は減少しているが、このトンネルを通ってそこに通勤している人もいる。このトンネルはこのアルミニウム工場のためにできたことを後で知る。そして、このアルミニウム工場の電力は、ヴァトナヨークトル(氷河)の水を利用したダムから取っていることを、“National Geographic(2008年3月号”の記事で知る(Mp5)。要するに、ここが、問題のKarahnjukar計画の中心地帯である。何も知らなければ、ただ、トンネルができて、随分便利になったと感じるだけであったろう。このアルミニウム生産工場が見えるわけでもなく、昼間なので、通勤する車があるわけでもない。この計画は、この国の大問題であり、LPにも2/3頁にわたって紹介されている。道がよくなり観光客が殺到して、自然を破壊することも危惧されている。
トンネルを出たところの表示板には、気温5 oC、北の風8 m/sと出ていた。トンネルを出ると割合急な坂を登ることになるが、道路自体は、悪くはない。このようにして、前もって少し危惧していた地域を難なく通り過ぎることができた。
エイイルスタジルは東部で一番大きい町(LPによれば、人口1910人)である。LPや、それを見て入った人が推薦しているCafe Nielsenというレストランに行く(Dt7)。LPでは、土曜は13時から開店と書いてあるが、実際には13時30分からで、少し待って食事する。
エイイルスタジルから1号線を通る。途中に、名称の分からない滝がある(Dt8)。
 ミーヴァトンに着く前に、Lindhofdiから北に向うわき道(864号)に入ってデッティフォス(Dettifoss)を目指す。聞いていたようにかなりの悪路で40 km/hぐらいで進む。何か、金属音のすれる音がする。最初は、缶ビールとびんビールが接触している音かと思って離したが、相変わらず続く。車輪とブレーキの間に、小石でも入ったかとも考えたが、対処の仕方が分からないので、帰りも、そのままで進んだ。ただ、少し高速にすると音がしなくなって、以後、音がしなくなり、原因は分からなかった。
滝に着いたときは、黒雲が覆い小雨も降ってきて、見物客も数名しかおらず、落差44 m、幅100 mの滝の凄さは、今回見た多くの滝の中で一番であった(Dt9)。滝つぼのすぐ下流の岩には、玄武岩の柱状節理が見える(Dt10)。ここも、柵がなく岩で足場も悪く、岸で滑ったら一巻の終わりなので、岸辺の極く近くに寄ることはしなかった。遠くの西側対岸の岩山の上には、2,3人の人影が見える。川の西側の862号を来た人たちであろう。西側の方が眺めは良いが、西側の道は、車の底を擦るほど悪いと書いてある旅行記を読んだので、東側から来た。実際、この西側の道はレンタカーでの進入禁止地域である。東側も悪路であったが、車の底を擦るほどは悪くなく2輪駆動でも問題なかったろう。この滝の上流、下流にも滝があるが、最初から、見ない予定であった。また、更に北に進むとアゥスビールギ(Asbyrgi)という奇形奇岩地帯があるが、時間がないので、残念ながら断念する。ある人の旅行記のアイスランド見所ベスト10の1位になっていたので、良いところに違いない。帰りは50 km/h以上のスピードを出すと金属音がしなくなることが分かったので、少しスピードを上げて1号線に戻る。
 しばらく行くとミーヴァトン地区の入り口の車で入れる展望台に出る。あちこちから湯煙がでていて、なかなかの眺めで(Dt11-12)、明日の観光を楽しみに思う。写真(Dt12)の、湯煙で大部分隠れているのがミーヴァトン湖で、左手前の青白色をした湖は、珪藻土工場の排水湖である。湖底の珪藻土は、肥料、塗料、歯磨きや、フィルター助剤などに使えるそうである。
本日は、どこにも寄らずに、湖の対岸のスクートゥスタジル(Skutustadir)(突出した土地の意)という集落にあるホテルに、19時30分にチェックインする。走行距離は、昨日とほぼ同じの、407.9 kmであった。
ミーヴァトンとは、「蚊の湖」を意味する。「ミー」というのは、蚊のことで、「ヴァトン」というのは、水や湖を意味する。スウェーデン語で、水は、ヴァッテン(vatten)といい、waterと同じ語源なので、ミーヴァトンという語は、自分には覚えやすい。
写真説明
Dt1 ストズヴァルフィヨルズゥルのペトラ鉱石収集館
Dt2 ペトラ鉱石収集館
Dt3 石の博物館内の青い芥子の花
Mp4 新しく建設されたトンネル;Faskrudsfjodur
Dt4 フィヨルドを隔てて見えるFaskrudsfjordurの村落
Dt5 トンネル前のT字路の表示;92号でエイイルスタジルに進む
Dt6 新しくできたトンネル
Mp5 新開発地域(赤印);National Geologic, 3月号(2008)の引用
Dt7 エイイルススタジルのレストラン「カフェ・ニールセン」
Dt8 エイイルススタジルからの1号線から見える名前の分からぬ滝
Dt9 デティフォス
Dt10 デティフォスの滝つぼ近くの玄武岩の柱状節理
Dt11 ミーヴァトン入り口の見晴台からの眺め(1)
Dt12 ミーヴァトン入り口の見晴台からの眺め(2);上記の右手