CANADA2−4
●メディスン湖(Medicine Lake):冬季には消える湖
マリーン湖に来る途中に通り過ぎたメディスン湖に戻る。24 kmに約40分かかる。マリーン湖を見た後では、あまり代わり映えしないが(Ja5)、この湖の特徴は、長期の時間をおいて見なければならないそうだ。春から秋までは、氷河から流れ出る水で、水があるが、冬になると、氷河からの水が止まり、一方、ここからマリーン渓谷へと流れ出て、完全に干上がってしまうそうである。その様子が魔法のようだというので、先住民が、この名前をつけたという(Ja6)。先住民が英語を使っていたわけではないが、「魔法」と「薬」は、同じ言葉であったのだろうから、面白い名前である。ここの看板もそうであるが、すべて、カナダの観光案内看板は、英語の説明に加えて、必ずフランス語が同時に書いてある。フランス語圏の人々に気を使って、融和させ、独立運動をさせないための方策と推察するが当たっているだろうか。15分ぐらい見て、さらに、15km戻り、マリーン渓谷に行く。

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Ja5
Ja6
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Ja9
Ja10

●マリーン渓谷(Maligne Canyon):野生の熊を見る
駐車場に入って行こうとしたら、先行の車2,3台が道端に止まって先に進めない。駐車場が満員で、出てくる車を待っているのかと一瞬思ったが、ちょっと様子が違う。よく見ると、一部の人が車から出て、藪の方を見ているので、我々も皆が見ている方向を見たら、車の右手、林の中、10 mぐらいの距離に熊がいる。急いで、右側にいる家内に窓を開けて写真を撮ってもらう(Ja7)。自分は、車を止めて、カメラをもって左側の運転席から降りて、慌てて写真を撮る(Ja8)。顔を、こちらに向けないかと思っているうちに、さっと林の中に消えてしまった。この間、どれくらい時間が経過したのか分からない。撮った写真が家内が1枚、私が1枚だけだったから、多分1−2分内の出来事であろう。野生の熊を見るのは初めてであるし、明らかに熊の方から、人間が居るのが分かっているところに出てきたわけだから、通常言われている、熊からは人間には近づかないということに反する。後に、疑問が残ったが、安全な状態で見られたのだから、運が良かったといえよう。車は数台止まっていたから、10人近くの人が目撃したのだろう。後から見たら、付近には立て札があり、「全ての熊は危険だから、熊に遭ったら、車から出るな」と書いてあるから(Ja9)、頻繁にここには出てくるのであろう。近くのゴミ箱は、人間でなければ開かない方式になっており、熊のマークも付いているから、熊が開けに来るのであろう(Ja10)。急に出くわしたら襲われること必至だから、カナダの山に行くには、鈴が必携であることを知る。因みに、本には、熊には100 m以内に近づくなと書いてある。熊の行動は予測不能なのだそうだ。熊が出てきたところは、駐車場の入り口の地点で、そこから、ほんの数十メートル先の駐車場に車を止めて、マリーン渓谷を見に行く。この流れは、上述のようにメディスン湖から発していて、すぐ下流で、アサバスカ川(AthabascaRiver)に入っている。C.Rで最大の渓谷で、一番深い所は谷底まで50 mもあるという。岩が見事であり、水の流れはあまりにも深いので、その流れの速さが伝わってこないくらいである(Ja11)。散策している人の数は先に行くにつれて6個の橋があるという。下流に行くにしたがって水面の深さは、道路に近くなってくる。3つ目の橋では、普通の渓谷になっている(Ja12)。4つ目の橋まで歩いたところで、更に先まで行って帰って来た人に聞いたら、5番目は遠いから、ここで戻った方が良いと教えてくれたので、そこで戻る。これは正解であった。4番目から帰っても、計1時間20分散策したことになった。そこから車道に出て走っていたら、5番目、6番目の橋の入り口という看板が、続けて出てきて、車で簡単に近づけることが分かる。6番目を先に見て、次に5番目に戻り、結局、6つの橋を全部見たことになる。6番目の橋では、今さっき見た川のちょっと下流とは思えないほど、川幅は広がり、且つ急流である。これは、北側から流れているアサバスカ川に、ちょっと上流で、今見てきた渓谷を流れる川(マリーン川というようである)が合流していて、もともとアサバスカ川の水量が圧倒的に多いことによることを後で知る。そこでは、今まで見たことも聞いたこともない水中スポーツの練習をしていた。長い棒を持って、急流を上流に向って歩くスポーツらしい。シャワー・クライミングとも違うようである。初心者に2人の上級者がついてアドバイスをしているが、大変急流なので、見ていた10分近く一歩も歩かなかった(Ja13)。全部、男性だろうと思っていたら、上がってきたところを見たら、女性も1人いて驚く。大変危険なスポーツと思うが、洪水のときなどに役立つのではないかと思う。川を歩いて渡る際に棒を持って渡れば、深みにはまることも少なくなり、急流に流されることも少なく、より安全であることに意外と我々は気付いていない。5番目の橋(Ja14)までも車で行く。川の様子は6番目と変わらない。ここを14時50分に出て、68 km 離れたマヤッタ温泉に向う。再度、6番目の橋の近くを通り過ぎて、すぐのところに、雌のムース(moose)と思われるものが、道端で草を食べている。馬のように大きい。車が近づいても特に逃げる様子もない(Ja15)。これも、天敵の少ない道路に出てきているものと思われる。

Ja11
Ja12
Ja13
Ja14
Ja15

●マヤッタ温泉(Miette HotSprings)
温泉の駐車場には、16時5分に着く。Mietteと書いて、マヤッタと読むのは何故だか分からない。マヤッタというのは先住民の言葉なのであろうか。ジャスパーの町から55 kmも離れた山奥にしては、人の数が多いが、バンフで先日見たプールより、ずっと大きく、人口密度も少なく、温度も39 ℃近くあり、海外の温泉としては、日本人にとっても適温である。入場料は大人6.15 $、65歳以上は、17歳までの子供同様、$5.20である。C.R.ではどこかで温泉に入るかもしれないと思っていたので、水着とバスタオルは、日本から持参したが、ここで、貸してもくれるらしい。プールは3つあり、そのうち、大きな2つは、温度は39℃で(1つは、全面1.5 mの深さで、もう1つは、ずっと浅い)、あと1つあるのは、小さくて、20 ℃ぐらいで、とても我々が入れる温度ではなく、子供が2,3人入っていただけであった。なお、気温は22℃で、割合高かった。どこかに書いてあったのかもしれないが、遊泳は禁止なようで、皆、じっと入っているだけで、泳ぐ人は皆無であった(Ja16)。弱いが、硫黄の臭いもする。あたりの景色は絶景とは言えないが、山間の温泉という雰囲気はある。小さな虫が飛んでいて、水に落ちるようで、監視員が時々、網で掬っている。この地には。買い物、着替えなども含めて1時間半いたが、温泉に入っていたのは、正味1時間ぐらいであった。韓国人も含めて、白人の人々も、彼らにとっては熱いに違いない湯に、意外に長く入っている。韓国通の家内がいうには、韓国人は日本人同様、熱い風呂に入るのだそうなので、不思議ではないらしい。ラジウム温泉かと思い長いこと入るのはどうかと思ったが、後から案内書を見ると、ここはラジウム温泉ではないらしい。今回のカナダ旅行では、当地が我々の達した最北限で、ジャスパーが52°52´60"であるから、更に多少北ということになる。日本の北限(稚内:45°24´ 50")よりは大分北ではあるが、ヨーロッパでは、イギリスのリバプール(53°25´ 12")ぐらいであるから、同緯度で比較すれば、日本付近と比べれば暖かく、ヨーロッパと比べれば、大分寒いことになる。17時40分に出て、ガソリン補給のために一旦、ジャスパー市内に戻る。途中、アサバスカ川沿いの道で、何度か車を止めて、景色を見る。ピラミッドの形をしたピラミッド山(Pyramid Mountain: 2763 m)も見える(Ja17)。当地は、各所で、いっぱい山は見えるのだが、どれがどの名前に対応するのかなかなか分からない場合が多いが、このように特徴があると分かりやすい。この山の麓に、ピラミッド湖というのがあるが、そこには行かなかった。行った人の感想を、後で、プリントしていたネットの情報で見たら、「唯の湖」とあったから行かなくてよかった。この写真の手前に写っているのは、湖ではなく、アサバスカ川である。

Ja16
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Ja21

●ジャスパー・フェアモント・ホテル
家内が昔、テレビ・ドラマで、ジャスパー、バンフの両フェアモント・ホテルを見たことがあり、それ以来、これらのフェアモント・ホテルを1度みてみたかったそうで、行くことにする。バンフのものは、この後行くことになる。そのドラマは1974年4月から3ヶ月間放映された田宮ニ郎主演の「白い滑走路」というもので、山本陽子、松坂慶子などの人気女優が主演している。「白い巨塔」の映画化は1966年で、田宮ニ郎の出たテレビは1978年ということだが、1974年といえば、まだ、一般の人が海外に行くのは、経済的に難しい時代で、田宮ニ郎はパイロット役で、海外ロケも多かったというから、題名といい、主役といい、海外ロケといい、このテレビ・ドラマは大変受けたに違いない。家内が30年間も覚えているだけのことはあろう。因みに、自分は多忙の盛りで、テレビ・ドラマをやっている時間に帰宅はしていなかった。ホテルは、市内から意外に遠く7 kmもある。ある本には5分で行けると書いてあるが、南回りの道があるので、そこを行くべきであった。広大な敷地の中に、本館は40室であとはロッジが散在している。車で回っても出口が分からなくなるほど広く、ゴルフ・コースもある。レストラン(Ja18)とゴルフ場に多少人がいたが、宿泊客は非常に少ないように思われる。敷地は3つの湖に面している(Ja19)。敷地内を、勝手に散歩させてもらったが、その贅沢さに驚くばかりである。今まで、こんな敷地の広いホテルを見たことがない。「わがまま歩きカナダ」(ブルーガイド社、2007)には、「ボーベール湖(LacBeauvert;フランス語で、「美しい緑」)を見渡せる部屋をとって、長期滞在型のリゾートを楽しみたい。」と夢のようなことが書いてある。1泊S,D,T(シングル、ダブル、トリプル)の値段は、Ca$409-529とある。日本人に金持ちは沢山いるが、暇のある金持ちは少ない。(大前研一著「旅の極意、人生の極意」講談社(2006)を見て、世界の超一流ホテルには、まだまだ上をいくものがあることを知る。)帰途中の道には、数時間前に見たのと同じ動物を道端で見る。 町に帰って、中心にあるすし屋「伝次郎」に、20時に入った時は、まだ明るかった。大変流行っていて、カナダ人のウエートレスは走り回っており、注文品も、西洋レストラン並みになかなか来なく、1時間半いたが出てきても、写真が撮れるほど明るい(Ja20)。朝、いろいろ教えてもらった鉄道駅に近い観光案内所の写真を撮る(Ja21)。B&Bに帰ったのは、21時40分であった。ジャスパーに2泊といっても、実際に行動できるのは、今日1日だけであるが、大変充実した1日であった。
写真説明
●ジャスパー地区
Ja5:メディスン湖
Ja6:メディスン湖の魔法の説明
Ja7:ブラックベア出現
Ja8:直後、森に入るブラックベア
Ja9:付近一帯にある熊の警告
Ja10:ごみ箱は熊が開けられない
Ja11:マリーン渓谷;道を行く人と水面の差
Ja12:マリーン渓谷;第3の橋
Ja13:第6の橋下での、名称不明のスポーツ訓練
Ja14:第5の橋
Ja15:第6の橋近くの道路脇にいたムース
Ja16:マヤッタ温泉
Ja17:アサバスカ川岸から見るピラミッド山
Ja18:ジャスパー・フェアモント・ホテルのレストラン
Ja19:フェアモント・ホテルから見たボーベール湖
Ja20:寿司店(伝次郎)
Ja21:観光案内所