NORWAY
●ノールカップ(Nordkapp)(北緯71°10’ 21”)
ここに一番近い飛行場は、ホニングスヴォーグ(Honningsvag;人口約3000人)にあり、
ノールカップを目指し、船で来ても、必ず、ここで降り、ここからは、バスで行かねばならない。
したがって、ノールカップに行くには、ここで宿泊するのが普通であるが、ホテルが団体客で
混んでいるらしいことや、南のアルタ(Alta)も訪問したいので、その中間の、南にあるハンメル
フェスト(Hammerfest;人口1万人弱、北緯70.5°)に2泊することにし、そこから、より天気の
より良さそうな日にレンタカーで、ノールカップを目指し、もう1日を、世界遺産であるアルタの
岩絵を見に行く計画を立てた。ハンメルフェストまでは、成田から、最短で、コペンハーゲン-
オスロ-トロムセ-ハンメルフェストと乗り継いで行かねばならない。オスロの空港から近いところ
で一泊し、トロムセでは、SASから、読み方さえ分からないWideroe航空のプロペラ機に乗り換え、
ハンメルフェストの空港に着いたのは、成田出発の27時間半後の、6月24日(金)の15時15分
であった。野口さんにお願いして予約してあったAVIS(レンタカーの会社)の人が、わざわざ我々
のために出張してきて、空港で待っていてくれた(返却の際は、鍵を指定されたポストに入れた)。
まずまず、晴れていたし、翌日の天気は、悪化の傾向と予報されていたので、本日、行くことを
決め、ホテルに一旦立ち寄り、一休みして、17時過ぎに出発した。何しろ、日が暮れることがない
ので、何時に出発してもよいのが有難い。温度は14 ℃であった。インターネットで、5日先までの
天気予報が見られたが、この2日間は下り坂の予報だった。ノールカップまで約150 kmであるが、
途中、ホニングスヴォーグの町を1時間半ぐらい見物したので、そこから35 kmを、45分ぐらいで
ノールカップに到着したのは、21時頃であった。ノールカップやホニングスヴォークのあるのは、
マーゲロイ島にあるので、本当はヨーロッパ大陸に属していなかったが、長さ6.8 kmの海底トン
ネルが、1999年にできて、地続きになった。ホニングスヴォーグまでの道は、平坦で、舗装されて
いて良く、交通量も少なく、荒涼とした景色を予想して行ったが、メキシコ湾流のお陰か、意外に
そうではなく、トナカイなども飛び出して来ず、ドライヴは終始快適で あった。
先端には、大駐車場や夏だけ営業している大きなノールカップホールがあり、人気の郵便局や、
カフェ、レストランをはじめ、地下には展示場、シアターなども備え、寒くて外に出られないときでも、
中で寛げるようになっている。こんな最果てに来る物好きな人が多いのに驚く。ただし、我々の
滞在時間中、日本人らしき人は見かけなかった。ちなみに、この地を車で訪れるだけで、トンネル
通過料(車140 Nkr+1人当たり46 NKr)と入場料(190 NKr)で1人約6000円かかると、ネットの
旅行記で見ていたが、本当であった。短い夏の間しか開いていないので、やむを得ない。先端は
柵のめぐらされた約300 mの高さの絶壁になっており、横に連なる断崖や、海が見えるだけである。
外を見たり、レストランで食事後、絵はがきを書いたりした。温度は9 ℃程度で、予報で予測して
いた温度よりやや高かった。ここは、夏でも、なかなか天気のよい時が少ないらしく、23時ごろには
見えた太陽も、到着時から、すでに間断的に押し寄せていた霧がだんだん深くなり、0時ごろには、
太陽は見えなくなり、夜とあまり変わらない状態になった。約30分間の映画上映を見て、そこを出た
夜中の1時には、濃霧で10 m先ぐらいしか見えなくなり、深夜のように真っ暗で、どうしようかと、
困ったが、たまたま、出発しかけていた観光バスの後ろについて、脱出できた。ホニングスヴォーク
に近づくにつれて、霧は晴れた。ホニングスヴォークより先は、地形の関係か、一段と天候が厳しい
ようである。帰りは、途中で眠くなり、道端に車を停めて、休憩などしたので、ハンメルフェストの
ホテルに着いたのは、朝の4時半頃であった。明るくても、真夜中に、車を走らす人は少ないらしく、
対向車は、150 kmの間に10台ぐらいしかなかった。
● アルタの岩絵(Alta)
しばらくホテルで寝て、12時半にホテルを出て、南に150kmぐらい離れたアルタに世界遺産の
岩絵を見に行く。ハンメルフェストのホテルは、明け方に帰ってくる宿泊客のためにか、朝食が、
11時半まで用意される。アルタの博物館には16時に着く。博物館は、1993年にヨーロッパの博物館
のグランプリを取ったそうである。
 今から、6200年前から2000年前に岩に描かれた約3000点の図がここにある。発見されたのが、
1972年と割合新しい。同様なものが、以前滞在していたイエテボリの北約150 kmのターナム
(Tanum)にあり、それも、今は世界遺産になっている。最初にそれを見たときは大変、感動したの
で、このアルタの岩絵も、この種のものが最初であれば、さぞ感動するだろう。ここは、海辺で、
あたりには、ワタスゲなどの‘高山植物’が咲き乱れ、それらが、岩絵と調和して詩的なムードがある。
18時40分まで、見学してハンメルフェストに帰る。今日は6月25日(土)で、夏至祭りの日で、スウェー
デンでは、1年中で一番の祝日で、メイポールを立ててダンスなどに興じるが、ここノルウェーでは、
見た限り、それらしき様子は、全く見られず、ちょっと残念であった。
@ A
B C D
@ハンメルフェストからノールカップへの風景:
  海岸沿いのため、緯度のわりに温和なのか、荒涼とした景色ではない。


Aノールカップ駐車場:

  観光バスやキャンピングカーなど多くの車が駐車している。太陽は横から照らすので、影は長い。


Bノールカップホール:

  深い霧が押し寄せて、太陽を隠している。太陽の下に、地球儀をかたどった飾りがあり、
  その周りに多くに人影が見える。


Cノールカップの風景(22 時ごろ):

  崖は、約300 mの高さである。


Dアルタの岩絵(世界遺産):

  赤色は、保護と絵を分かりやすくするため、後で着色したもの。数百メートルにわたって、
  13ヶ所の岩の上に描かれている。それらを巡る遊歩道は約2 kmある。