SICILY H
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●ヴルカーノ島(泥沼温泉)
 島の名前は、ローマ神話の火の神Vulcanusから来ていて、火山や、噴火口を意味する“volcano”と
同じ語源を有する。泥温泉もあるというので、1日かけて行く予定を立てた。朝8時にホテルを出て、
ミラッツオの昨日確認していたフェリーの事務所(Ustica Line;ウスティカというのは、シチリ北にある島
の名前)の前の道端の区画した部分に駐車させて、船の来るのを待つ。時刻表では、9時25分発、
10 時10分着になっているが、実際には30分近く遅れる。1組の年配の人の団体が乗船した以外は、
小グループばかりであった。乗船したのは、100-150名程度であったと思う。この団体は、次のリパリ島
まで一旦行って、ヴルカーノ島にも戻ってきたらしい。帰りのフェリーでは、ヴルカーノ島から乗船していた。
 船がレヴァンテ港に着いて、どこに温泉があるのか分からなかったので、島の奥の方にとりあえず歩いて
行くが、人が歩いていないので、違うことが分かるが、別に急ぐこともないので、しばらく歩いていたら、
海岸の近くに出てそこに泥温泉があることが分かる。船着場のすぐ右手の15 mほどの小山の陰に隠れて
いたが、船着場のすぐ近くにあった。なお、この小山にも登れるらしいが、現在は、ガスの噴出活動が盛ん
で危険なので立ち入り禁止の立て札が貼ってある。泥沼温泉には柵があるが、外からも中が見えて、
見物している人もいて大変長閑な風景である(Vu1)。奥は海にほとんど直結している(Vu2)。
入場料2 Euroを支払って入る。泥温泉は、一番深い所でも腰ぐらいであるので、溺れることはないし、
泥水の密度が高いので、アルキメデスの原理で、横になっても沈まない。下からは、量はそう多くはない
が湯が湧き出ている。温度は適度に暖かく体温より少し高いぐらいの39-40 ℃であろうか。日差しが強い
ので帽子を被っている人もいる。硫黄や硫化水素のためか、10分以上入ると体に毒だと書いてあるので、
ほどほどで出る。周りの岩にほんの小さな洞窟があって蒸気が出ているところがあり、たまたま、空いたので、
そこも試してみる。腰痛に効くそうである。暖かくて気持ちの良い反面、硫黄の臭いが強くてそう長くはいれず、
1人が独占しないために都合がよい。泥を落とすためにほぼ続いている海に入って泥を落とす。泥温泉は
初めての経験で面白かったが、妻は気持ちが悪かったという。人により好き嫌いも違うようである。
泥パックをしている人もいて(Vu3)、しかも男性でもいる。なお、2002年に来た人のwebの体験記で、
トイレも脱衣所も無いと書いてあるが、勘違いか、その後に設置されたのか分からないが、少なくとも
今はある。持ち込んだかばんなどに付いた泥は、帰国後、水、洗剤、ベンジンなどで拭いてもどうやっても
落ちないで、妻は、かばんを1つ駄目にしたという。
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Vu6
  脱衣の時間も含めて1時間程度入っていた。近くのレストランでのんびり昼食を取り、レヴァンテ港の
目の前にある標高391 mの山グラン・クラテーレ(GranCratere)(Vu4)に登ることにする。登り口が分から
ないので、山から下りてきたアメリカ人と思われる夫婦に聞いたら、その先だと教えてくれて、登るのに
3 Euroも取られると冗談交じりに教えてくれた。確かに登っていったら、途中に小屋があり、1人3 Euro
取られ、パンフレット(イタリア語)をくれる(Vu5)。どういう名目の入場料か分からないが、下りてきた時に
は、もういなかった。道幅は広く、勾配は、終始ほぼ一定であり、途中休みながら、1時間半程度で頂上に
登れる。ここヴルカーノ島は約7つからなるエオリエ諸島のうちで一番ミラッツォに近く、最短地は7 kmで
ある。登ってきた町や港が真下に見えるが泥温泉は丁度岩影に隠れている。その右の湾のすぐ先の
旧火口が見える山は、標高123 mのヴルカネロという。すぐ北のここから約4 kmにリパリ島が見え、遠く
右手に直線距離で約50 km離れたストロンボリ島と思われる島がかすかに見える(Vu6)。また、リパリ島
の左手に16 km離れたサリーナ島が見える(Vu7)。Webの情報によれば、ヴルカーノ島からのエオリオ諸島
巡りの観光船が出ていて、ストロンボリ島を日没後に見ると、5分から15分ごとに噴火を繰り返し火柱をあげ、
山肌を真っ赤な溶岩が流れ落ちる様子は圧巻とのことである。たまたま、この旅行記を書いている最中の
2007年4月22日(日)にTBSの番組「世界遺産」で、ストロンボリ島の夜の爆発の幻想的な風景を見ることが
できた。また、上記の泥沼温泉は、無人の状態の景色が出てきただけであったが、グラン・クラテーレの
噴気物の観測をしている様子が紹介されていて大変懐かしかった。約100年前に爆発して、次回にいつ
爆発するかを予知観測しているとのことで、炭酸ガスやラドンの濃度が高くなると爆発の危険の指針である
と言っていた。この当たりは、アフリカプレートとヨーロッパプレートがぶつかりあって、火山や島ができていて、
ストロンボリ島は、海抜1000 m程度であるが、海底からは3000 m程度の山になっているとも紹介されていた。
登っている山の頂上は、大きな径500 mもある噴火口があるが(Vu8)、左手は、硫黄ガスなどが立ち込めて
いて危険なので、近づくことが禁止されている。
ヴルカーノ島には、他にも見るべきところが2つほど(タツノオトシゴの洞窟とヴィーナスのプール)あるが、
船で廻らねばならないので、行けない。この地域だけで、ゆっくり長期滞在するようなところである。
18時25分発のフェリーで、ミラッツォに帰り、そこで夕食を食べていくことにする。町が賑やかな割には、
レストランはすぐには見つからなかった。イカ墨スパゲッティを食べる(Vu9)。本場のものと昨今、日本で
食べるものには違いは自分には分からない。町の温度計が26 ℃を示していて、快適な温度である。
ホテルに戻ったのは21時20分であった。
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写真説明

Vu1:泥沼温泉;右手に入り口
Vu2:泥沼温泉の先の海(ティレニア海)からも温水が湧いている
Vu3:泥沼温泉の泥パック
Vu4:フェリーの港の上にはグラン・クラレーレ(標高391 m)がある
Vu5:グラン・クラ―レ登山の関所
Vu6:グラン・クラーレからの眺望:フェリー桟橋、ヴルカネロなど
Vu7:グラン・クラ―レからの眺望:リパリ島やサリーナ島(左手遠方)
Vu8:グラン・クラーレの火口
Vu9:イカ墨スパ