●チュニス観光前編(バルドー博物館と動物園)
翌朝、食堂には、数組の日本人がいて、このホテルが日本人に人気だと本に書いてある
とおりだと思った。折角チュニスに一泊しているので、この町一番の見所のバルドー(Bardo)
博物館を見学することにする。この博物館はアフリカのルーヴルと言われていて、特にその
モザイクが有名である。ホテルのフロントでもらった地図で見たら約4 kmありタクシーで行く。
タクシーを頼むにも、ボーイが呼んでチップを渡さねばならず、面倒である。バルドー博物館
に着いたら、観光バスは何台も止まっているし、沢山の観光客が来ている。入場料は6Dで、
写真撮影料が+1Dである。
ここは、オスマン・トルコ支配の時代(16-19世紀)にチュニジアの統治者(ベイ)の宮殿で
あった。1881年にフランスが支配権を握ると、1882年にアラウィ博物館という名前で発足し、
1956年にチュニジアが独立した際にバルドー博物館と名前を変えた。バルドーは、この地域
の名前だそうである。説明つきでないと、どの物品が、是非見るべき目玉なのか良く分から
ないので、一通り見ることにする。
後に、日本人の訪問記をインターネットで調べていたら、共産党の不破哲三議長(当時)が
2003年にチュニジアに招かれて7日間訪問し、その際、バルドー博物館に来られたものが
連載されたものだそうである。不破氏は、(1)バルドー博物館の他に、(2)ナヴール市と
ハマメット市と(3)スース市の3つの招待者側から提案された候補の中から、迷わず、ここ
バルドー博物館を選ばれたとあるから、さすがに教養のある方は違うと感心する。しかし、
不破氏が紹介している壁画などは、私が撮ったものとは違うので、感性は違うようだ。
大体は、狩猟、漁業、農業など庶民の生活を題材にしたモザイクが多い。ギリシャ神話
・聖書などに基づいたものもかなりあるらしいが、これらに深く精通していないので分からない
ものもある。シチリア島のモザイクも、チュニジアから職人を招いて作らせたというだけあって、
シチリア島で見てきたものとよく似ている。その他に彫像や、壷などもある。建物の壁や天井
の模様も見事である。写真は100枚以上撮ったが、ここに、いくつかを示す(Ba1−Ba13)。
Ba3はサロメの話なのであろうか。何の知識がなく、これは何を描いているのかと想像するの
も楽しいものである。
見終わってホテルに帰ったが、まだ時間があったので、近くのベルベデール公園内の動物園
に、アフリカ産の珍しい動物でもいるのかと思って行ってみる。入場料は、大人0.6D(撮影の場合:
+0.3 D)で、大変安い(Tu3)。外人観光客と思われるような人は来てなく、皆地元の人のようで
あった。特に珍しい動物はいなかったが、猪がいて、結構人気がある。イスラムでは、豚は不浄
と考えられていて、豚も猪も同列の扱いを受けるそうなのに、どうして動物園に、多数の猪のみ
ならず豚もいて人気があるのか分からない。しかし、猪狩りが今でも行われているそうなので、
食しているようにも思うが、分からない。バルドー博物館には猪狩の図が沢山あったが、あれは、
ローマ時代のもので、イスラムとは文化が違うのだろうか。2007年の干支なので、写真を撮る
(Tu4)。ちょっと異様に感じるのは、子供は女の子もいるが、付き添って来ている親は、母親では
なく父親が多いことである。土曜日ではあるが、家族一家で来ている人はあまりいない。
やはり、女性はなるべく外出しない習慣になっているのだろうか。
午後に空港から、ハマメットの学会会場行きのバスが出るので、タクシーで空港に行く。
空港に着いたら運転手が20D請求する。ホテルで10Dぐらいだと言っていたといったら、一瞬、
憤然となったが、小銭が14Dしかなかったので、その値段にしてくれた。一見気さくな運転手で、
下手なフランス語の会話に応じてくれていたのだが。帰国の際に、もう一度、このホテルに宿泊
で往復したが、行きはメーターで、5D以下で、空港に来る時は、朝の4時ごろであったが、10Dで
あった。この国では、タクシーにその後も何度か乗ったが、値段が安いからまあ許せるが、
観光客とみると、騙そうとする運転手が多い。メーターがついているものも多いが、隠したり、
メーターの値自体も操作しているのか当てにならない。